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感情でネタを思いつき、論理で記事を書き上げる、暇なせとのノートブック。セトヒマノート。 https://note.com/setohima から記事を移行しました。

初心者のみならず、上級者VRChatterにも私立VRC学園を推したい話

 

 私は、私立VRC学園の3期生として入学し、2週間にわたって約20名のVRChatterと一緒に授業を受けて、そしてあっという間に卒業を迎えたVRChatユーザーの1人だ。

 卒業にあたって、まだ私立VRC学園を知らないVRChatユーザーの皆さんに伝えたいのは、『VRChatで遊んでいる初心者はもちろん上級者にもこの空間を体験してほしい』ということだ。

 その理由について、私自身の経験を中心としつつ、『授業のバリエーション』『新たな仲間』『すごい人とのコネクション』の3点に分けて説明していく。

 

そもそも私立VRC学園ってなんだ?

 私立VRC学園とは、学園長のタロタナカ氏をはじめとする多くのVRChatユーザーが集まり運営されている、いわば仮想空間上の学校だ。
 現実世界の学校のようにクラス分けをしたり授業を受けたりすることを通して、VRChatやその周辺に関する知見を深めたり、学友同士で交流し仲を深めることができる場となっている。

 詳しい説明については、少し先に張っている学園関係者のnote記事へのリンクを参照していただきたい。

私が私立VRC学園に入ったきっかけ

 きっかけは、確か私がVRChatを始めた週の週末 (2020/10/17~18) に開催されていた、天文仮想研究所 VSP の一周年記念イベントだ。そこでは、様々なワールドがその団体の一周年を記念してコラボのような企画を行っていた。

 そしてその中で唯一、イベント期間を通してあるワールド内で記事の展示を行っていたのが私立VRC学園だった。そこでは、主に学園長であるタロタナカさんや卒業した生徒の体験談のnote記事がびっしりと展示されていた。

 ちなみにこれらはもちろん実在する記事であり、読んで頂くことも可能だ。以下にリンクを張っているので、興味のある方はぜひそちらも読んで頂きたい。

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 この当時の私は、チュートリアルワールドで親切な方に話しかけて頂きVRChatでの繋がりを少しずつ広げ始めたものの、フレンド数が少なくぼっちだった。
 この日も普段通りの人見知り力を発揮し、一人で楽しめるもの(=上記のnote記事のような読み物)が見れるワールドがあると知るや否やすぐにこのワールドに飛び込んでいた。
 そして中にいたユーザー(今思うとVRC学園の関係者)には絡みに行かず、上記の記事を片っ端から読み漁っていた。画像では省いているが、ワールド内には記事の隅から隅までを複写したものが公開されていたためだ。

 最初にタロタナカ学園長のフランクな記事を読んで学園設立の経緯と第0期について知り興味を抱き、そして萬匠大将氏の記事で『自主成長するコミュニティ』『生徒が教員になったり、自主的に部活や校章、校歌を作ったりする』といったエピソードを読んだ辺りで、私の興味は有頂天に達していた。

 この私立VRC学園というコミュニティは、明らかに既存のものとは違う。義務教育における学校のように押しつけがましいものでもなければ、既存のVRChat上における勉強会とも何かが違う。そんな全く新しい概念を、当時の私はひしひしと感じていたのだ。
 他のお二方の記事や、ワールド内に掲載されていたそのほかの掲示物も私の感情をより高みへ至らせてくれた。

 そして2020年11月中旬ごろに私立VRC学園第3期生徒の募集が始まると知るや否や、何の疑いもなく、確信をもって申し込みフォームに記入をしたのだ。

 

KnownやTrustedでも入学希望出して大丈夫?

 さて、ここまで読んで頂いた皆さんのうち上級者に該当する方々は、「自分にもまだ新しく学べることがあるのか?」であったり、「初心者ユーザーの申し込み枠を潰してしまうことにならないだろうか」といった心配をされているのではないだろうか。

 その必要はない。後述するが、私立VRC学園には恐ろしいほどの多種多様な種類の授業が用意されている。
 また実際、定員50人だったのに対し100人以上が応募してきた際に、それを全員通してしまうような担力がこの学園にはあるのだ。応募をためらう必要はない(※今後の募集で同じような措置になる保障はなく、あくまでも筆者の推測に過ぎないが)。

 学園生活を過ごす際にはユーザーランクを緑に偽装してくれと依頼はされるが、それさえ守れるのであればなんの問題もなく入学することができるだろう。

 

VRCの新たなジャンルに飛び込むきっかけを得られる

 VRC学園には、それはもう多種多様な授業の数々が存在する。私立VRC学園第3期で実施された授業は合計30種類で、ざっと列挙するなら以下の通りとなる。

他人に話しかけたり話題作りをしたりが苦手な方向けのコミュニケーション授業。
ボイチェン講座。
お砂糖やkawaiiムーブについての講座。
VRCにおけるアバターの存在意義について。
アバター3.0講座。
自作アバター講座。
周りにアバターの見た目で流される必要は無い話。
VRCのワールド作成講座。
VRCで楽器演奏する方法。
VRCと現実をつなげる話。
VR酔い対策。
VRCで使える英会話講座。
承認欲求を満たす創作のやり方。
考える力の身につけ方。
VRCの歴史をイベントやアイドルから学ぶ講座。

 さらにやや専門的な話として、DJやダンスについての授業、ロケットで物理を学ぶ話、写真撮影学、VRCにおけるアクロバット飛行、記事執筆や漫画執筆についての授業、VRCでの即興劇、デザインについての基礎。

 以上のような授業を、1種類につき45~60分で、それも事前課題や事後課題を強要されることなく気軽に学ぶことができるのだ。

 これらは全て、何かしらVRChatに関わる内容だ。しかしこの中には、存在は知ってるけど、1人ではなかなか飛び込むきっかけを作りにくいジャンルや、VRChatでそんなことできるの?と気付かされるジャンルもあることだろう。

 私立VRC学園の良い点の1つは、授業やその担当教員を通じ、そういったジャンルと繋がるコネクションを得やすい事だと思う。
 実際に私自身も参加した授業を通じて、興味はあるけど始め方が分からなかったDJについて教えてくれる先生のDiscordサーバーに招待してもらえたし、kawaiiムーブを追求し続ける先生とTwitterで相互フォローになることもできた。

 1人では何をすればいいのかよく分からないことも、皆でなら楽に始められる。私立VRC学園は、十分にそのきっかけになり得るのだ。

 余談だが、ほとんどの授業が沼に落ちるきっかけだけを与えてくれる。なぜなら、それが沼に落とすための最適解だからだ。

 

"あの頃"に戻れる

 当然といえば当然であり、VRChatに限った話でもないが、日々を同じ友達同士で過ごしていると新たな出会いの機会というのは減ってしまいがちだ。
 別にそれが悪いというわけではないし、これまでの友好関係というのは大切にしていくべきだろう。ただ、時には普段通りの日常にちょっとした変化があると、自分の中の何かもまた変化するようなきっかけを得られ、より自分達を高めていくことができるのではないだろうか。

 そのきっかけを得られる場の1つが、この私立VRC学園なのではないかと思う。というのも、"学園"というだけはあり、現実世界のそれと同じように生徒が複数のクラスに分けられて約2週間を同じ校舎の下で過ごすことになるからだ。
 もちろん四六時中同じ場で過ごすわけではなく、あくまでも授業とその前後の1時間程度を過ごすのが約2週間続く、という話だ。たったそれだけかもしれないように見えて、たったそれだけで同じ場を過ごす仲間として互いを認識し合うことができるのだ。

 私の所属していた3-2というクラスも中々凄かった。初めての顔合わせでロボットが出てくるわ、なんか逮捕されてそうな人が出てくるわ、檻が出てくるわのてんやわんや騒ぎだった。

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 一時はどうなるかと思ったが、参加者がよく知り認知を共有している『学校』という空間があるお陰で話題作りには事欠かず、その過程で次第に互いのことを知るようになり、共通の趣味を通じてより話題が発展するようになり、見知らぬ間柄だったはずなのにどんどん交流が深まっていく。

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 ちなみに、我々3-2における共通の趣味は『VRChatにおけるネタアバター』と『胸部のDynamic Bone』だった(※筆者の見解)。

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 さらには時間が空いているクラスメイト同士で集まり、授業時間外に別のワールドへ遊びに行ったりするようにもなる。相応に仲が深まっている事がわかる一幕である。

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 そして卒業式の日、気が付けば誰もが「最初はどうなるかと思ったけど、とても楽しいクラスだった」と思い思いに語り合えるような雰囲気の場が生まれていたのだった。

 もちろんこの内容は第3期の出来事であり、皆さんが入学した際にはまた違った流れで交友関係を広げることができるだろう。

 ともあれ私立VRC学園には、あの頃の学校生活のように、ワイワイ騒ぎながらも着実に仲を深めていくことができる場が存在している。むしろ、学校生活を知っている参加者が集っているからこそ、よりよい形に昇華できているのではないか、とも思える。

 

何だかんだですごい人達と繋がれる

 実はVRC学園3期における初心者ユーザーとそれ以外のユーザーの割合というのは、半々ぐらいなのではないかと思っている。学園全体としてどうだったかは確認していないため分からない。
 とはいえこの学園で過ごす限りは対等に交流することができるのだから、もはやユーザーランクの上下程度など些細な事象に過ぎない。それぐらいには平等な交流の場が生まれている。

 それに加えて、『実はそんなことしてたの!?』と思わされるような人々が生徒として入学していたりもするのだ。
 ニコ生配信を10年続けている人もいるし、日本語が流暢な海外勢もいるし、VTuberもいるし、ゲーム配信者もいるし、VRC内のアイドルグループに所属している人もいるし、私のようにnote記事を書いている人もいる。
 上記はあくまでも私が行ったクラスの場合だが、そういった人々がしれーっとこの学園に入学していて、しかし先述のように同じクラスメイトとして、対等な関係として繋がることができるのだ。

 著名な方、すごい人達と繋がれる機会というのは、ありそうで実はなかなか存在しない。
 私の経験上、そういった人達と繋がれるパターンは4種類存在する。

① "すごい人"に対してこちらから繋がりに行く
② 自分が"すごい人"になる
③ お互いが "普通の人" の時に繋がっていて、いつの間にか相手が"すごい人"に変化している
④ "すごい人"に紹介してもらって別の"すごい人"と繋がる

 ①は要するにTwitterでリプ飛ばすなりVRChatで会いにいけばいいでしょ、という話だが、自分に自信が持てないとこういったことをする勇気が出ない方が多いだろう。昔の私もそうだった。
 かと言って②をするのもそう容易いことではない。何か自分に自信が持てることを継続的に続けていないと、そうはなれないだろう。
 一方で③は正直なところ運次第となってしまうし、④はすでにすごい人と繋がれていないと成しようがない。

 しかし、私立VRC学園なら、入学申し込みをするという勇気さえあれば、①を簡単に実行できてしまうのだ。"すごい人" は授業の先生かもしれないし、クラスメイトかもしれない。はたまた、学園を運営している誰かかもしれない。
 ただ、『学園に入学申し込みをする勇気を出した』という一点だけで、そんな人達と繋がることができるのだ。

 

知識や人との出会いが世界の解像度を上げる

 この見出しの『世界の解像度』とは、私と一緒に私立VRC学園でデザインに関する授業を受けた ばる さんが呟いていた言葉だ。

 これはデザインの授業で「デザインに関する知識を持っているかどうかで、普段見慣れているワールドの景色や現実世界の建築物から得られる印象が変わってくる」といった辺りについて教えてもらったことに関係する言葉だ。
 しかし、何もこの言葉はデザインに限った話ではない、と私は感じている。

 人間は自分がすでに持っている知識の範疇でしか物事を考えられない。
 『普段Twitterで見かけるけどJoinしづらいあの人がやってる○○って実際何をしてるんだろう…』と思うことは多々あれど、ほとんどの人は自分が何も知らない領域に踏み込むことはないだろう。しかし自ら足を踏み入れて知ることができれば、それが新たな交流の始まりになるのだ。

 フレンドになったのはいいけど結局Joinしづらい……という繋がりが多くなりがちなVRChat。しかし、『2週間を同じ校舎の下で共に過ごした』という共通点、ただそれだけでその後の関係をより高く築き上げやすくなれるのだ。

 よほどの事がない限り、他人や環境は変えられない。だからこそ、変わるべきなのは自分なのだ。
 自分が変わるだけで、世界の見え方は大きく変わり、今まで見えなかったものが見えるようになるだろう。

 

最後に

 この記事では、初心者のみならず上級者もVRC学園に入学すべき理由として、

・VRChat関係の知っていそうで知らないような知見を気軽に学べる
・"あの頃"のような気分で新たな交友関係を築ける
・先生やクラスメイトの"すごい人"と自然に繋がれる

といった点に触れていった。

 この記事ではあくまで学園生活を送る間に遭遇するであろう内容についてを中心に紹介したが、学園生活を終えて卒業しても、クラスメイトや同期という繋がりはこれからも続いていくのだ。

 VRChatは現実世界よりも『繋がり』を持つ敷居は低い一方で、その繋がりを深めていくのは難しく感じる傾向にある、と思っている。

 とはいえ、繋がりを深めるといっても、ただ少しのきっかけさえあれば、難しさなんてどこかへ吹っ飛んでいったように私達はあっという間により深く繋がっていけるのだろう。
 そのきっかけは授業の内容かもしれないし、先生かもしれないし、クラスメイトかもしれないし、学園の関係者かもしれない。そして、それらを一纏めに得ることができるのが、この私立VRC学園なのだと思う。

 

 ちなみに私自身はこの学園での様々な出会いと学びを経てもなお、自分自身のVRChatでのこれからの立ち振る舞いについて定め切れていない。

 如何せん、やりたい事が増えすぎたのだ。写真撮影もしたいけど、kawaiiポーズで写真を撮られたい。意外と簡単そうなDJも始めたいし、ちょっと手を出したら意外と簡単だったワールド作成も続けていきたい。さらにはデザインについての知見を深めて自分のアバター改変やワールド作成に反映してもいきたいし、今後も私立VRC学園に何らかの形で関わっていきたいとも思う。クラスメイトと駄弁りもしたいし、ゲームもしたい。

 この辺りが定まるのは当分先の話だろうが、ひとまずは新たに知り合えた学園の皆と一緒に、その辺りのことをじっくりと選び定めていきたい。

 

 少し話が逸れてしまったが、皆さんはこの記事を読んで少しでも心惹かれるものがあっただろうか?
 もしそうであれば、是非ともその気持ちを大切にしつつ、次の生徒募集がかかるまで待っていてほしい。きっとあなたを変えるきっかけになる出会いが、ここにあるはずだ。