setohimaNote

感情でネタを思いつき、論理で記事を書き上げる、暇なせとのノートブック。セトヒマノート。 https://note.com/setohima から記事を移行しました。

#モンハン愛をカタチに。 AdventCalendar 2020の作品をふりかえる Week1

この記事は、#モンハン愛をカタチに。 AdventCalendar 2020の作品をふりかえる|せと。|note に投稿した記事があまりにも重すぎてスマホでの閲覧が難しいために、当該記事の内容を分割したものとなります。

1週間分(10作品)ずつ記事を分けて投稿しています。

 

 2020年12月1日から2020年12月25日まで「モンスターハンターシリーズ」に関する二次創作作品を公開する企画を主催させて頂いたせと。です。
 本企画の概要や公開された作品の一覧については、以下のツイートをご覧ください。

 

 この企画中、私からは各作品の推薦文を書き、引用RTでそれぞれを宣伝させて頂きました。以下のツイートはその一例です。

 

 ですが、推薦文である以上は初見での面白さを失わせてしまいかねない(=ネタバレ)ような文章を書くわけにはいきませんでした。ひと目で見て全体像が分かるイラストや画像はまだしも、書き物や動画でネタバレをしてしまっては実際に作品を見ずに済ませる方が増えてしまうからです。

 これにより何が起きたかと言うと、私自身がネタバレありで感想を書きたいのに(約半分は)書けないというお預け状態になってしまったのです。
 (厳密には書き物や動画の作者さんにはDMで直接お伝えしているのですが、開催期間中はそれを表に出すわけにはいけませんでした)

 

 しかし、開催期間が終わった今であれば、大手を振ってネタバレありの感想を公開することができます。とはいえTwitter上に50作品分の感想をツイートしてしまうのはさすがに迷惑が過ぎると考えたため、このnote記事で感想を公開させて頂きます。

 『ちょっと気になった点』をごく一部含めることもあります。しかし、企画趣旨としては批評を行うことがメインではないため、褒めて伸ばすスタイルで感想を書きます。50作品分。

 

 

【以下は全作品に関するネタバレを含みます】

 

01. Day1 AM せと。

 で、いつになったら闘技大会Sランクをソロで取るんですか? ゴメンネヨワクテ

 初っ端から自分の作品ゆえに感想も何もという感じではありますが。とりあえずこの記事を書こうと思ったきっかけは、やりこみ勢への密かな憧れと(あわよくば成果を出すことができたらという点での)承認欲求、そしてゲーム中の自身の思考を文章として書き起こすことの実証実験でした。ま、結局のところやりこみ勢の域にはまだ到達できていないわけですが。

 如何せん『弾撃ってればいつかはソロS取れるだろ』と思っていたのですが、まさか狙撃榴弾を撃ち込む戦いを強いられるとは予想していませんでした。そのうえ筆者は『すぐに結果が出ない努力を躊躇いがち』なタイプなので努力が続かないのなんの。

 自分の思考を整理しながら試行錯誤を繰り返すのは何も考えないよりは効率が良いだろうとは感じましたが、やはりどうしても手間がかかります……。せめて『あとは運次第でゴールにたどり着ける』段階まで行ければあとは試行回数勝負なのですが、それもまだできておらず。
 闘技大会でソロSを出せる方々の情熱と努力が、つくづく羨ましいなあと思います。

 とはいえ、ちょっと嬉しいこともあって。私の記事を読んだ方が、闘技大会ソロSを達成されたのです。

 どんなに些細なことでも知見を残すことで誰かの役に立てるのだなあ、と自分で記事内で記したことが間違いでなかったことがよく分かりました。リサリサさん、ありがとうございます。

 

2. Day1 PM こちゃ さん

 この作品を見た時、かなーりびっくりしましたね。いや実は事前にDM「こんな感じの作品を作ろうと思います」と下書きを見せていただいた時からすでにびっくりしていたのですが。
 なぜかというと、普段のこちゃさんの作品はとてもシンプルなものが多い印象があったからです。例えばこんな感じ。

 普段のこちゃさんと比較すると、かなり力を入れて下さった作品だと分かります。如何せん、「今までで一番悩みながら描いた」と仰るぐらいですから、その具合は相当なものだったと思います。

 個人的にツボだったのは右下のゾラ・クリスマラオスツリーですね。普段の姿では絶対着けないであろうクリスマスグッズの数々が、かわいいデザインのお陰ですっかりお似合いになっています。かわいいですね。

 

3. Day2 AM そら中尉 さん

 そら中尉さんは、普段は以下の動画のようにガンランスでスタンを取ることにハマっておられる方だそうです。

 しかし今回ツイートしていただいた動画ではガンランスを用いたスタンは冒頭の数シーンのみで、その他は着撃弾と様々なものを組み合わせてのスタン動画集となっています。捕獲用ネットやイグニの魔法、雪玉にFFジャンプ…着撃弾を組み合わせれば当然といえば当然スタンが取れるのですが、言われてみないと案外気づかない(というか試そうと思ったことがなかった)ので着眼点が素晴らしいなぁと思っています。

 さらっと流してしまいましたがガンランスでスタン取れてるの普通にお上手なんですよね…!フルバーストや空中フルバーストでスタンするのなんて脳汁プシャーって感じです。しかもYoutube動画のほうでは抜刀術【力】を用いてスタン可能な全モンスターのスタンを撮っている動画を上げてらっしゃる…。モンスターの突進に合わせて抜刀踏み込み突き上げを当ててスタン取ってる辺りなんて芸術ですよ。やろうと思ってそうそうできる芸当じゃない。

 やはり一つの物事を極めている方々というのは相応に輝いて見えてしまうんですよね……自分もまだまだ未熟だと感じています。っていちいち他人と比較してたらキリがないんですよね。餅は餅屋、ということでマイペースに生きましょう。

 

4. Day2 PM ジョニー・D さん

 読んでいて意外だったのは、主人公がMHX~MHXXの主人公キャラクターということを示唆する部分。超ざっくり言ってしまえば旧大陸でのモンスターの狩猟に対するもやもやが新大陸での経験によって晴れる、という内容だと私は感じたのですが、よく内容が薄いとか言われがちな旧大陸での出来事を引き合いに出してキャラクター付けをしつつ、新大陸のストーリーと絡めてアンサーを出すというのはなかなかにお見事なストーリー構成だと感じています。

 あと私事で恐縮ではありますが、読んでいて思ったのは……地の文が女性口調だと色々と刺さりますね、ワタシ。さすがに終盤の主人公が狩猟本能発揮するシーンで我に返りましたが、ちょっと感情を揺さぶられやすくなっちゃうなあ……と思ったり。いや何の話だこれは。

 話を戻して。言うて新大陸のストーリーもダイレクトに伝わらないというか回りくどい部分があったことは否めないと私は感じていたのですが、前述の主人公の前歴や心理という前提があるおかげで、新大陸のストーリーを理解する一助になる作品になり得るのではないかなあと思います。

 余談ですが、ジョニーさんには日々公開される作品のほとんどに対して真摯に感想を伝えてくださっていた印象がとても強く、また私の解釈不足な部分を補ってくださるような紹介もあり、大変ありがたかったです。

 

5. Day3 AM ぜおん さん

 本企画では初のハーメルン枠にして、連載枠。そして、戦闘シーン全開で来てくださった作品です。
 やはり目を惹くのは動作に関する描写。普段から見慣れている太刀や操虫棍の動作の1つ1つが文章で表されていくと、それぞれがゆっくりと再現されていく感覚を覚えてちょっと楽しくなってしまうんですよね。それに加えて、ゲームにはないような『地面に叩きつけられる反動を操虫棍の発砲で抑えようとする』なんて描写も出てくるので、これがゲームではなく真に狩猟を行っている狩人の姿なのだと認識させられます。

 極めつけは一番最後のシーン。シアンがどうして空中にいるんや!?と謎を残したまま次話に続くという、ニクい演出です。ちなみに空中にいた理由はすでに公開されている次話を読めばすぐに分かりますが、どうやら彼女はエリアル太刀使いのようなのです。そういやエリアル回避も無敵時間あったなぁ(使いこなせた試しがないけれど)。

 とはいえこの話はあくまでも連載中の小説の途中のお話。どうしてこの2人がコンビを組んでいるのか、とか狩人の経験が少なそうな割にシアンがかなり強くないか、とか色々気になることはありますが、そういった話はきっと頭から作品を読み進めていけば明らかになるのでしょう。……ハイ、まだ読む時間が確保できていないので冬休み中に読みたいと思います。

 

6. Day3 PM 寝猫さん

 いやあ、何度見返しても目を疑うんですが……色鉛筆でここまでできてしまうんですね……!
 もふもふしたいけど痺れそうな毛、堅そうな鱗が塗り分けされているのは勿論のこと、まるでルビーか何かではないかを思わせるような目の透明感が最も目を惹きますね……この質感、飛雷竜の宝玉と言ったところでしょうか。

 しかしポージングや棘の向きからすると、戦闘態勢真っ只中なのでしょうか。いやそうじゃなきゃ帯電してないか。カワイイ印象もある普段と比べると、なかなかにクール方面に振り切っておられるようですね。一体何を相手にしているのやら……ジンオウガと縄張り争いだったりして。
 まあ、こういったギャップを楽しむために二次創作作品を心待ちにしているといっても過言ではないのです。

 

7. Day4 AM ジャスティスハルカ さん

 今更ながらイラストに関しては知識がほとんどないので大層なことを言える立場ではないのですが、ジャスティスハルカさんの描く女性は力強さと美しさを併せ持つ、一言でざっくり纏めるとヴァルキリーのような印象を受けます。例えば、彼女の最新作であるベリオXシリーズのハンターを見ると、私と同じ印象を持つ方は多くなるのではないでしょうか。

 なんでそんな印象を抱くのだろうかと思えば、全体的に黒めの色を使っていらっしゃることが多いからでしょうか。しかし、だとしても描かれるキャラクターの美貌を損なわずに注意しつつもしっかりと強さを表現できるのは、相当に難しいことなのではないかと思います。

 そしてライラの背後にどっしりと構えるラージャンインパクトと来たらたまったものではない。同様に黒をベースとしつつも毛並みが分かる程度には色分けされていたり、描き込みの量の差から明らかに人間ではない、と分かりつつもどこか人型に近いものを感じてしまう不思議な感覚を覚えさせられるラージャンです。恐ろしさもあるけれどどうしてか親近感も沸いてしまう、そんな不思議な感覚を覚えます……。

8. Day4 PM アラウ さん

 まさかの飯テロ…ならぬお菓子テロ。さらっと様々なお菓子を作っていくシーンが怒涛の勢いで描かれているが、よくよく見ると作中に出てくる食材の殆どはMHW・IBに出てくる食材ばかりなのです。いやあ、ゲーム中に食材は数多くあれども、その味までを想像したことはなかったですね……さくらんぼの代わりにヘブンベリーを使ったとはいうものの、昇天する味って実際どんな味なんだろうなぁ。さすがに味で殺されてしまうような味ではないだろうけど。

 さらに驚かされるのは作中に出てくるお菓子の引き出しの量。洋菓子がメインだと思うのですが、私にとってはほとんどがその名前を聞いたことがないものばかり……自らの知識の狭さに、片っ端からGoogle検索を頼ることになりました。レープクーヘンとかポルボロンの辺りからもう聞いたことないお菓子ばかり。

 MH食材を使う辺りといい、ポルボロンをゾラ・マグダラオス風にアレンジする辺りといい、総じてアラウさんの想像力にはとても驚かされます。

 

9. Day5 AM 皇我リキ さん

 この作品を一日目の頭に据えさせてほしかった……!というのが正直な所です。まさか、一般のモンハンファンを二次創作小説の沼に引きずり込むような作品を出してくださるとは思わなかったのです。

 MHP2Gのゲーム内の場面場面を切り取り文章に起こしつつも、明らかにゲームとは異なる点が表現されています。
 例えば冒頭でイャンクックを探すシーン。イャンクックが出てくる作品なのにも関わらずMHWシリーズの"痕跡"のことについて触れられている辺りから、早速そのことが伺えます。ここで読者に『ただのゲーム再現小説とは違う?』と感づかせる意図がすでにあるのでしょう。加えてその後にリオレウスらしき痕跡があるのは伏線であり、読者の興味を繋ぎ続ける役割もありそうです。

 そして戦闘シーンに入り、一気に読者の関心を惹きつけていきます。読者にとっては慣れ親しんだモンスターであっても、作中の狩人にとっては脅威になり得る一存在であることが動作の一つ一つから示されていたり。最後のリオレウスもより威圧感をおぼえさせる描写だったり。

 いちいち書き出しているとキリがなくなりそうなのでこの辺りで切り上げますが、まさしく創作小説に慣れ親しんでもらうことを目的に据えているということがよく分かる作りになっており、二次創作小説を読んだことがない方が読者層だった今回の企画には大変ありがたい作品でした。

あと個人的には閃光玉を使ったときのこのフレーズがめっちゃ好きです。

 刹那、光が森を焼く。

 

10. Day5 PM ソネット さん

 ほぼ全モンスターへの印象をありのままに記した作品。これは冗談でもなんでもないのですが、こういった「生の感情がありのままに記録された作品」というのは、現代ではかなり貴重になりつつあるのではないかと思っています。

 厳密にはTwitter上のツイートとかそういった形で感想がいくらでも垂れ流されているのですが、探す側からすると如何せんそれを見つけるのが難しい時代。今回の場合なら小分けにしてツイートした場合、個々のモンスターに関する感想を見つけることはできても同じ人が全てのモンスターに対して感想を書いた内容全てを都合よく取り込むのは難しいわけで。だからこそこういった記事が……いやこれ何の話でしたっけ。

 モンスターの感想が一通りあるだけではなく、さりげなくそれ以外の内容についても触れられているのも見どころでした。“「古代樹は梅田」” とか。

 あと興味深いのは、”ベヒーモスが私のモンハンライフを変えたといっても過言ではないと思います。” と断言している箇所です。
 ベヒーモスといえばMHWの様々なアレコレの矢面に立たされることとなったモンスターであり、正直に言えば良い感情を抱いていない方も少なくないモンスターでもあります。しかしそんな逆境になりかねないような状況でも、自身の経験を踏まえてハッキリと自分の伝えないことを臆さずに伝えられるというだけでもスゴいことだと、陰ながら私は感じていました。

 

【AdventCalendar 2020の作品をふりかえる記事リンク集】

初心者のみならず、上級者VRChatterにも私立VRC学園を推したい話

 

 私は、私立VRC学園の3期生として入学し、2週間にわたって約20名のVRChatterと一緒に授業を受けて、そしてあっという間に卒業を迎えたVRChatユーザーの1人だ。

 卒業にあたって、まだ私立VRC学園を知らないVRChatユーザーの皆さんに伝えたいのは、『VRChatで遊んでいる初心者はもちろん上級者にもこの空間を体験してほしい』ということだ。

 その理由について、私自身の経験を中心としつつ、『授業のバリエーション』『新たな仲間』『すごい人とのコネクション』の3点に分けて説明していく。

 

そもそも私立VRC学園ってなんだ?

 私立VRC学園とは、学園長のタロタナカ氏をはじめとする多くのVRChatユーザーが集まり運営されている、いわば仮想空間上の学校だ。
 現実世界の学校のようにクラス分けをしたり授業を受けたりすることを通して、VRChatやその周辺に関する知見を深めたり、学友同士で交流し仲を深めることができる場となっている。

 詳しい説明については、少し先に張っている学園関係者のnote記事へのリンクを参照していただきたい。

私が私立VRC学園に入ったきっかけ

 きっかけは、確か私がVRChatを始めた週の週末 (2020/10/17~18) に開催されていた、天文仮想研究所 VSP の一周年記念イベントだ。そこでは、様々なワールドがその団体の一周年を記念してコラボのような企画を行っていた。

 そしてその中で唯一、イベント期間を通してあるワールド内で記事の展示を行っていたのが私立VRC学園だった。そこでは、主に学園長であるタロタナカさんや卒業した生徒の体験談のnote記事がびっしりと展示されていた。

 ちなみにこれらはもちろん実在する記事であり、読んで頂くことも可能だ。以下にリンクを張っているので、興味のある方はぜひそちらも読んで頂きたい。

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note.com

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note.com

 この当時の私は、チュートリアルワールドで親切な方に話しかけて頂きVRChatでの繋がりを少しずつ広げ始めたものの、フレンド数が少なくぼっちだった。
 この日も普段通りの人見知り力を発揮し、一人で楽しめるもの(=上記のnote記事のような読み物)が見れるワールドがあると知るや否やすぐにこのワールドに飛び込んでいた。
 そして中にいたユーザー(今思うとVRC学園の関係者)には絡みに行かず、上記の記事を片っ端から読み漁っていた。画像では省いているが、ワールド内には記事の隅から隅までを複写したものが公開されていたためだ。

 最初にタロタナカ学園長のフランクな記事を読んで学園設立の経緯と第0期について知り興味を抱き、そして萬匠大将氏の記事で『自主成長するコミュニティ』『生徒が教員になったり、自主的に部活や校章、校歌を作ったりする』といったエピソードを読んだ辺りで、私の興味は有頂天に達していた。

 この私立VRC学園というコミュニティは、明らかに既存のものとは違う。義務教育における学校のように押しつけがましいものでもなければ、既存のVRChat上における勉強会とも何かが違う。そんな全く新しい概念を、当時の私はひしひしと感じていたのだ。
 他のお二方の記事や、ワールド内に掲載されていたそのほかの掲示物も私の感情をより高みへ至らせてくれた。

 そして2020年11月中旬ごろに私立VRC学園第3期生徒の募集が始まると知るや否や、何の疑いもなく、確信をもって申し込みフォームに記入をしたのだ。

 

KnownやTrustedでも入学希望出して大丈夫?

 さて、ここまで読んで頂いた皆さんのうち上級者に該当する方々は、「自分にもまだ新しく学べることがあるのか?」であったり、「初心者ユーザーの申し込み枠を潰してしまうことにならないだろうか」といった心配をされているのではないだろうか。

 その必要はない。後述するが、私立VRC学園には恐ろしいほどの多種多様な種類の授業が用意されている。
 また実際、定員50人だったのに対し100人以上が応募してきた際に、それを全員通してしまうような担力がこの学園にはあるのだ。応募をためらう必要はない(※今後の募集で同じような措置になる保障はなく、あくまでも筆者の推測に過ぎないが)。

 学園生活を過ごす際にはユーザーランクを緑に偽装してくれと依頼はされるが、それさえ守れるのであればなんの問題もなく入学することができるだろう。

 

VRCの新たなジャンルに飛び込むきっかけを得られる

 VRC学園には、それはもう多種多様な授業の数々が存在する。私立VRC学園第3期で実施された授業は合計30種類で、ざっと列挙するなら以下の通りとなる。

他人に話しかけたり話題作りをしたりが苦手な方向けのコミュニケーション授業。
ボイチェン講座。
お砂糖やkawaiiムーブについての講座。
VRCにおけるアバターの存在意義について。
アバター3.0講座。
自作アバター講座。
周りにアバターの見た目で流される必要は無い話。
VRCのワールド作成講座。
VRCで楽器演奏する方法。
VRCと現実をつなげる話。
VR酔い対策。
VRCで使える英会話講座。
承認欲求を満たす創作のやり方。
考える力の身につけ方。
VRCの歴史をイベントやアイドルから学ぶ講座。

 さらにやや専門的な話として、DJやダンスについての授業、ロケットで物理を学ぶ話、写真撮影学、VRCにおけるアクロバット飛行、記事執筆や漫画執筆についての授業、VRCでの即興劇、デザインについての基礎。

 以上のような授業を、1種類につき45~60分で、それも事前課題や事後課題を強要されることなく気軽に学ぶことができるのだ。

 これらは全て、何かしらVRChatに関わる内容だ。しかしこの中には、存在は知ってるけど、1人ではなかなか飛び込むきっかけを作りにくいジャンルや、VRChatでそんなことできるの?と気付かされるジャンルもあることだろう。

 私立VRC学園の良い点の1つは、授業やその担当教員を通じ、そういったジャンルと繋がるコネクションを得やすい事だと思う。
 実際に私自身も参加した授業を通じて、興味はあるけど始め方が分からなかったDJについて教えてくれる先生のDiscordサーバーに招待してもらえたし、kawaiiムーブを追求し続ける先生とTwitterで相互フォローになることもできた。

 1人では何をすればいいのかよく分からないことも、皆でなら楽に始められる。私立VRC学園は、十分にそのきっかけになり得るのだ。

 余談だが、ほとんどの授業が沼に落ちるきっかけだけを与えてくれる。なぜなら、それが沼に落とすための最適解だからだ。

 

"あの頃"に戻れる

 当然といえば当然であり、VRChatに限った話でもないが、日々を同じ友達同士で過ごしていると新たな出会いの機会というのは減ってしまいがちだ。
 別にそれが悪いというわけではないし、これまでの友好関係というのは大切にしていくべきだろう。ただ、時には普段通りの日常にちょっとした変化があると、自分の中の何かもまた変化するようなきっかけを得られ、より自分達を高めていくことができるのではないだろうか。

 そのきっかけを得られる場の1つが、この私立VRC学園なのではないかと思う。というのも、"学園"というだけはあり、現実世界のそれと同じように生徒が複数のクラスに分けられて約2週間を同じ校舎の下で過ごすことになるからだ。
 もちろん四六時中同じ場で過ごすわけではなく、あくまでも授業とその前後の1時間程度を過ごすのが約2週間続く、という話だ。たったそれだけかもしれないように見えて、たったそれだけで同じ場を過ごす仲間として互いを認識し合うことができるのだ。

 私の所属していた3-2というクラスも中々凄かった。初めての顔合わせでロボットが出てくるわ、なんか逮捕されてそうな人が出てくるわ、檻が出てくるわのてんやわんや騒ぎだった。

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 一時はどうなるかと思ったが、参加者がよく知り認知を共有している『学校』という空間があるお陰で話題作りには事欠かず、その過程で次第に互いのことを知るようになり、共通の趣味を通じてより話題が発展するようになり、見知らぬ間柄だったはずなのにどんどん交流が深まっていく。

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 ちなみに、我々3-2における共通の趣味は『VRChatにおけるネタアバター』と『胸部のDynamic Bone』だった(※筆者の見解)。

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 さらには時間が空いているクラスメイト同士で集まり、授業時間外に別のワールドへ遊びに行ったりするようにもなる。相応に仲が深まっている事がわかる一幕である。

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 そして卒業式の日、気が付けば誰もが「最初はどうなるかと思ったけど、とても楽しいクラスだった」と思い思いに語り合えるような雰囲気の場が生まれていたのだった。

 もちろんこの内容は第3期の出来事であり、皆さんが入学した際にはまた違った流れで交友関係を広げることができるだろう。

 ともあれ私立VRC学園には、あの頃の学校生活のように、ワイワイ騒ぎながらも着実に仲を深めていくことができる場が存在している。むしろ、学校生活を知っている参加者が集っているからこそ、よりよい形に昇華できているのではないか、とも思える。

 

何だかんだですごい人達と繋がれる

 実はVRC学園3期における初心者ユーザーとそれ以外のユーザーの割合というのは、半々ぐらいなのではないかと思っている。学園全体としてどうだったかは確認していないため分からない。
 とはいえこの学園で過ごす限りは対等に交流することができるのだから、もはやユーザーランクの上下程度など些細な事象に過ぎない。それぐらいには平等な交流の場が生まれている。

 それに加えて、『実はそんなことしてたの!?』と思わされるような人々が生徒として入学していたりもするのだ。
 ニコ生配信を10年続けている人もいるし、日本語が流暢な海外勢もいるし、VTuberもいるし、ゲーム配信者もいるし、VRC内のアイドルグループに所属している人もいるし、私のようにnote記事を書いている人もいる。
 上記はあくまでも私が行ったクラスの場合だが、そういった人々がしれーっとこの学園に入学していて、しかし先述のように同じクラスメイトとして、対等な関係として繋がることができるのだ。

 著名な方、すごい人達と繋がれる機会というのは、ありそうで実はなかなか存在しない。
 私の経験上、そういった人達と繋がれるパターンは4種類存在する。

① "すごい人"に対してこちらから繋がりに行く
② 自分が"すごい人"になる
③ お互いが "普通の人" の時に繋がっていて、いつの間にか相手が"すごい人"に変化している
④ "すごい人"に紹介してもらって別の"すごい人"と繋がる

 ①は要するにTwitterでリプ飛ばすなりVRChatで会いにいけばいいでしょ、という話だが、自分に自信が持てないとこういったことをする勇気が出ない方が多いだろう。昔の私もそうだった。
 かと言って②をするのもそう容易いことではない。何か自分に自信が持てることを継続的に続けていないと、そうはなれないだろう。
 一方で③は正直なところ運次第となってしまうし、④はすでにすごい人と繋がれていないと成しようがない。

 しかし、私立VRC学園なら、入学申し込みをするという勇気さえあれば、①を簡単に実行できてしまうのだ。"すごい人" は授業の先生かもしれないし、クラスメイトかもしれない。はたまた、学園を運営している誰かかもしれない。
 ただ、『学園に入学申し込みをする勇気を出した』という一点だけで、そんな人達と繋がることができるのだ。

 

知識や人との出会いが世界の解像度を上げる

 この見出しの『世界の解像度』とは、私と一緒に私立VRC学園でデザインに関する授業を受けた ばる さんが呟いていた言葉だ。

 これはデザインの授業で「デザインに関する知識を持っているかどうかで、普段見慣れているワールドの景色や現実世界の建築物から得られる印象が変わってくる」といった辺りについて教えてもらったことに関係する言葉だ。
 しかし、何もこの言葉はデザインに限った話ではない、と私は感じている。

 人間は自分がすでに持っている知識の範疇でしか物事を考えられない。
 『普段Twitterで見かけるけどJoinしづらいあの人がやってる○○って実際何をしてるんだろう…』と思うことは多々あれど、ほとんどの人は自分が何も知らない領域に踏み込むことはないだろう。しかし自ら足を踏み入れて知ることができれば、それが新たな交流の始まりになるのだ。

 フレンドになったのはいいけど結局Joinしづらい……という繋がりが多くなりがちなVRChat。しかし、『2週間を同じ校舎の下で共に過ごした』という共通点、ただそれだけでその後の関係をより高く築き上げやすくなれるのだ。

 よほどの事がない限り、他人や環境は変えられない。だからこそ、変わるべきなのは自分なのだ。
 自分が変わるだけで、世界の見え方は大きく変わり、今まで見えなかったものが見えるようになるだろう。

 

最後に

 この記事では、初心者のみならず上級者もVRC学園に入学すべき理由として、

・VRChat関係の知っていそうで知らないような知見を気軽に学べる
・"あの頃"のような気分で新たな交友関係を築ける
・先生やクラスメイトの"すごい人"と自然に繋がれる

といった点に触れていった。

 この記事ではあくまで学園生活を送る間に遭遇するであろう内容についてを中心に紹介したが、学園生活を終えて卒業しても、クラスメイトや同期という繋がりはこれからも続いていくのだ。

 VRChatは現実世界よりも『繋がり』を持つ敷居は低い一方で、その繋がりを深めていくのは難しく感じる傾向にある、と思っている。

 とはいえ、繋がりを深めるといっても、ただ少しのきっかけさえあれば、難しさなんてどこかへ吹っ飛んでいったように私達はあっという間により深く繋がっていけるのだろう。
 そのきっかけは授業の内容かもしれないし、先生かもしれないし、クラスメイトかもしれないし、学園の関係者かもしれない。そして、それらを一纏めに得ることができるのが、この私立VRC学園なのだと思う。

 

 ちなみに私自身はこの学園での様々な出会いと学びを経てもなお、自分自身のVRChatでのこれからの立ち振る舞いについて定め切れていない。

 如何せん、やりたい事が増えすぎたのだ。写真撮影もしたいけど、kawaiiポーズで写真を撮られたい。意外と簡単そうなDJも始めたいし、ちょっと手を出したら意外と簡単だったワールド作成も続けていきたい。さらにはデザインについての知見を深めて自分のアバター改変やワールド作成に反映してもいきたいし、今後も私立VRC学園に何らかの形で関わっていきたいとも思う。クラスメイトと駄弁りもしたいし、ゲームもしたい。

 この辺りが定まるのは当分先の話だろうが、ひとまずは新たに知り合えた学園の皆と一緒に、その辺りのことをじっくりと選び定めていきたい。

 

 少し話が逸れてしまったが、皆さんはこの記事を読んで少しでも心惹かれるものがあっただろうか?
 もしそうであれば、是非ともその気持ちを大切にしつつ、次の生徒募集がかかるまで待っていてほしい。きっとあなたを変えるきっかけになる出会いが、ここにあるはずだ。

【MHW:IB】ソロで闘技大会Sランク取ろうとしてみる体験記

 モンハン愛をカタチに。Advent Calendar 2020の一発目である初日の午前は、主催者であり暇な狩人でもある私せと。がお送りさせて頂きます。


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 今回の記事では、『闘技大会ほとんど触ったことないけどソロでSランク取ろうと思った体験記』をお届けする。

闘技大会とは

 闘技大会とは、モンスターハンターワールド:アイスボーンで受注できるクエストの1つだ。ただし一般のクエストとは大きく異なり、クエストごとに定められた武器や装備、アイテムの構成で特定のモンスターを討伐することが求められる。

 闘技大会には同時2人までが参加可能で、クリアした際にはクリアタイムがゲーム内ランキングやギルドカード(名刺のようなもの)に記録される。そのため、このゲームにおけるやりこみコンテンツの1つとして取り上げられることが多い。

 また、クリアタイムが一定の基準を満たしていると、『ランク』が付与される。ランクはS, A, Bの3種類あるが、一般的なプレイヤーの実力では2人がかりで挑戦してようやくSランクが取れる、という難易度調整であり、1人だけでSランクを獲得するのは容易いことではない。

 そして今回は、Sランクを1人で獲得することに挑戦したわけだ。


どうしてそんな無謀なことを思いついたのか

 私自身はこれまで闘技大会をほとんどやり込んでこなかったプレイヤーの1人であり、闘技大会をある程度クリアすると貰えるような報酬が最低限手に入ればそれいいやと思ってしまっているタイプだった。

 というのも、私は基本的にはマルチでワイワイ狩猟するのに近接武器で混ざるか、少し遠目で眺めながら弾を撃ち続けるほうが好きな狩人であり、モンスターを相手に一対一でやりあうとなると立ち回りの粗さが出てしまうため割と避けがちだったのだ。
 さらに、闘技大会を敬遠していた最大の理由が『装備が固定される』ことだ。武器種ごとにあるとないのとでは立ち回りが大きく変わってしまうスキルが存在するにも関わらず、闘技大会ではそれが十分に供給されていないことすらも多い。自由にやらせてくれ……というのが本音だった。

 しかしアイスボーンの最後のアップデートを目前に控える中で、最後の思い出作りの一環として突然『闘技大会にソロで挑みSランクを取ってみたい』ということを考えてしまった。切掛はそんなものだったのだ。


まずは大まかな方針を立てる

 とりあえず闘技大会に挑むとして、まずは何から手を出すか。
 ふと闘技大会マスター級を眺めると、CLEARマークのついていない闘技大会マスター級02を見つける。相手はパオウルムー亜種、武器は大剣、片手剣、ランス、操虫棍ヘビィボウガン
 あまり深く考えずに、これを選ぶことにした。

モンスターハンターワールド:アイスボーン_20201121072401

 そうと決まれば次に、どの武器で挑むかを考える必要がある。まずはそれぞれの武器種の構成について眺める。

大剣。
武器はウォーターゴーレムⅣ。切れ味は白30青20緑たくさん、と言ったところか。
攻撃力1008、水属性460。
スキルで水属性強化3、集中3、納刀術3、力の解放2が発動している(他にもあるが今回は効果がないので割愛)。
また、滑空の装衣がついている。
アイテムは各種回復アイテムのみ、絡め手なし。
特に何の変哲もない、いつも通りの大剣スタイルのように見える。
相手が空を飛んだら滑空の装衣で対抗しろということなのだろうか。……できるのか?
ああいや、段差や坂からのジャンプを使えということだろうか。

モンスターハンターワールド:アイスボーン_20201121073007


片手剣。
武器はフラッドウェイヴⅣ。切れ味は白20青60ぐらい。
攻撃力294、水属性330。
発動スキルは防御6、広域化4、破壊王3、早食い3、集中1、スタ急1。
アイテムは達人の円筒と、回復薬各種に元気ドリンコ、怪力の種。
なるほど、これは明らかにヒーラーに寄せている装備構成だ。
火力面は期待できるのだろうか?と思うが、属性の値は高めだしジャストラッシュの恵まれた火力でどうにでもなる気はする。
睡眠対策には早食い元気ドリンコ。上限はあるが、カバーが効くだけでもありがたい。


ランス。
武器はクロムスクリューⅠ。切れ味は白30青50ぐらい。
攻撃力506、麻痺属性400。
スキルは防御4、麻痺強化4、ガード性能4、属性開放3、納刀術2。
アイテムは化合の装衣と免疫の装衣、そして回復各種と力の護符・力の爪。
相変わらず勿体ないガード性能の振り方をしてくるなとは思う(あと1増えればガード時の反動が大きく軽減されるため)。
ガード強化無くて大丈夫か…?と鈍器本(*)を読み返したが、どうやらパオウルムー亜種の攻撃はガード強化がなくても受けられるらしい。
ただし、設置型の睡眠についてはガードができないものが存在する。
幸い免疫の装衣で睡眠をごまかすことはできるし、空中に滞空されたところを麻痺させることができればかなり美味しいだろう。
最大の懸念は火力面だが。

(*)鈍器本:MHWIBの公式攻略本のこと。モンスターハンターシリーズの攻略本はデータ量の多さから毎回分厚くなりがちで、その大きさから『鈍器』として扱えてしまいかねないことが由来。


操虫棍
武器はウォーターグレイブⅣ。切れ味は白30青20緑たくさん。
攻撃力651、水属性430。猟虫ボーナスは攻撃強化【属性】。
猟虫はグランツビートルⅠ・速。打撃虫で粉塵は毒。ただし属性はない。
スキルは防御6、水属性3、体術3、耳栓2、飛燕1、回避距離1、砥石高速化1、ジャンプ鉄人1。
アイテムは滑空の装衣、そして回復アイテム各種。
割とありそうな操虫棍の構成だろう。
一般論では攻撃回数に対し切れ味にやや恵まれないので、最低でも1度は砥石を使うことになりそうだ。タイマンで砥石使うタイミング図るのは苦手だ。
空中の敵を相手取るのは得意ではあるが、睡眠耐性はなく悩ましいところ。


ヘビィボウガン
武器はカルディブラスターⅠ。攻撃力339(+20)の狙撃榴弾
扱える弾はLV2・3通常弾、LV1〜3散弾、竜撃弾に斬裂弾。
通常弾は反動小リロ普通、装填数6〜5発と恵まれている。散弾はLV2までを同様に扱えるが、LV3散弾となると急に取り回しが悪くなる。
斬裂弾も扱えはするが、反動大かつリロードやや遅いのため悩ましい。
スキルは防御3、フルチャ3、納刀3、早食い3、攻撃2、通常弾強化2、体力回復量1、アイテム使用強化1、満足感1。
アイテムは癒やしの円筒に回復薬各種、怪力の種にLv2火薬粉*30、Lv3火薬粉*30。
どうやらLV3通常弾を撃て、ということになるのだろうか。
ダウンが取れたらすぐにLV2散弾に切り替えて追い打ちしつつ通常弾を節約したほうがよさそうだ。
調合分で通常弾だけなら120発ずつ作れてしまうので、弾数には心配要らなさそうだ。
あとはフルチャージの存在が大きい。最大体力を維持しつつ通常弾を撃ち込む立ち回りが容易に想像できる。


 この5種類の中から手に取ったのは……ヘビィボウガン
 特殊照準通常弾の中毒症状を持つ患者としては特殊照準パーツがないことがもどかしいが、常に相手を攻撃し続けるという狩猟の基本からみると、選択肢の中では最も戦いやすいだろうと判断した。
 また、滞留し厄介な睡眠ガスにこちらの行動が制限されにくく、比較的動きやすいだろうと予想したのも大きな理由だ。
 パオウルムー亜種の弾肉質は頭45、喉袋50、翼40、他諸々。いつもどおり、頭や喉袋を狙っていればどうにかなるだろう。


1回目:LV3通常弾だけを信じろ

 そして1回目の結果がこれだ。クリアタイムは15分5秒56、まさかのBランクからのスタートとなった。

モンスターハンターワールド:アイスボーン_20201121082415

 とりあえずLV3通常弾が枯渇し、LV2通常弾の使用を余儀なくされた。
 また、LV2散弾はダウン時の追い打ちにはあまり向かないかもしれない。ダウン中の頭に当てても合計で40ダメージしか出ない(LV3通常弾は57ダメージ程出る)。
 被弾も多かった。迂闊に睡眠ブレスを受けたところに必殺の跳ね回り突進で2回も力尽きてしまった。
 しかしまあ、ソロで片っ端から闘技大会全武器種のSランクを取って回るような巷の狩人達がTwitterのタイムラインに若干数存在することから感覚が麻痺しつつあったが、彼らがいかに恐ろしい実力を兼ね備えた存在であるかがよく分かる結果だった。

 とりあえず被弾が多く、そこからフルチャージの発動条件を再度満たそうとして回復しようとする攻撃できない時間が増加する。そういったフルチャージのカバーにより余計に時間がかかってしまう。かといってカバーしないと火力が劣ったままになってしまう。やはり被弾しないことが一番だ。
 次回はまず、リロードのタイミング、弾を発射するタイミングに気をつけよう。


2回目:狙撃榴弾も信じろ

 通し2回目、10分51秒16。約5分近い短縮になった。ランクもAランクに昇格できている。

モンスターハンターワールド:アイスボーン_20201121084942

 目先の欲に駆られて被弾覚悟で弾発射やリロードをすると結局時間の無駄になってしまうということは前回学んだので、攻撃を受けないことを念頭に置きつつ余裕を見て弾発射やリロードを実施するように立ち回りを変えた。急がば回れ、とは正にこのことだろう。
 また、LV2散弾は与ダメージ効率に劣るため封印し、ダウン中もLV3通常弾を頭に撃ち込み続けることを心がけた。
 最終的にLV3通常弾を219発全て消費してもなお敵を倒すことはできなかったが、その後通常弾Lv2を数十発程度撃ち込むことで討伐できた。
 無事にAランクを獲得することはできたが、Sランクを取るためにはここからさらに4分51秒短縮しなくてはならないのだ。意味が分からない。

さすがに手詰まりになったので、普段めったに見ないYoutubeで先駆者の動画を確認することにした。今回参考にさせて頂いたのは以下の動画だ。

 そういえば自分は狙撃榴弾を全く利用せず、ほぼLV3通常弾だけを撃ち続けていた。
 どうやら自分は狙撃榴弾の火力を過小評価していたらしい。狙撃榴弾を使っている人のほうが自分よりタイムが速いということは、(少なくともMR闘技大会02においては)LV3通常弾を撃ち込み続けるよりも狙撃榴弾を撃つほうが火力が出せることにほかならない。

 狙撃榴弾はリロードのモーションがかなり長く、発射時の前隙もやや長く撃つタイミングが難しいと思っていた。しかしこのプレイヤーは敵が滞空中ダウン後にしばらく飛ばなくなり、突進攻撃を多用するようになる習性を利用し、突進攻撃の後隙に弾込めを行ったり狙撃榴弾を発射している。なるほど確かに直線的な攻撃なので狙いやすいし、自分から離れる方向へ突進していくところに狙撃榴弾を撃ち込めばヒット数も増える。
 また、抜刀中の立ち移動だけで回避できる攻撃があることが分かった。
 さらに、パオウルムー亜種が落とす粘着石をも利用している。粘着石ぶっ飛ばし→ダウン中に頭部を通すように徹甲榴弾→ダウン後に頭部に粘着石で気絶が取れている。

 少し新たな知見を得たので、次回はどうにか狙撃榴弾を撃ち込めるように立ち回っていきたい。


3回目:狙撃榴弾1発の重みを実感する

 次の記録を出すまでには試行回数がかなり嵩むようになってしまった。数えていないが、10回はクエストリタイアを使用したはずだ。
 最大の理由は狙撃榴弾だ。強力だが被弾リスクが通常弾と比べ物にならない狙撃榴弾をいつ装填し、いつ発射するか。それを考えているうちに相手の攻撃に被弾してしまったり、些細なミスを起こしてしまうことが増えてしまったからだ。
 また、せっかく狙撃榴弾を発射してもうまく身体を通せずにかすり傷だけで留まってしまうこともあった。

 そこで、一旦安定策として狙撃榴弾を相手が倒れ込んでいる最中に限って撃ち込むように変更した。
 結果、通し3回目で9分45秒80を記録した。狙撃榴弾を使うだけで1分程度短縮することができた。

画像5

 しかし、狙撃榴弾をただ使っているだけでは先駆者に追いつくことができないことがよく実感できた。なぜなら、狙撃榴弾を使っているにも関わらず目標は未だ3分45秒先にあるからだ。

 この原因は概ね察することができている。(先駆者と比べると)狙撃榴弾のヒット数が少ない』ことと『狙撃榴弾を当てる方向によって合計与ダメージが大きく変わる』ことだ。

 『狙撃榴弾のヒット数』というのは、要するに通す場所が悪いということだ。
 貫通弾を当てる時をイメージして頂きたいのだが、パオウルムー亜種に対して左側の翼にしか当たらないような通し方をするのと頭から尻尾にかけて複数回ヒットさせるのとでは、当然だが一発の弾で与えられるダメージが大きく変わってしまうのだ。
 また、『動いていない相手に当てる』時よりも『自分から離れていくように動く相手に当てる』時のほうがヒット数が増えるのだが、説明が冗長になってしまうため詳細については省かせて頂く。

 『狙撃榴弾を当てる方向』についても説明しよう。狙撃榴弾の爆発部分のダメージは、実はヒット数が一定回数増えるごとにその部分のダメージが増加している。実際の倍率とは異なるはずなので参考に留めてほしいのだが、例えば2ヒット目までを1倍とすると、4ヒット目まではその1.5倍、5ヒット目以降はその2倍、というイメージだ。
 そうなると、狙撃榴弾というのは後にヒットした部位ほど与えられるダメージが増えるわけだ。つまり、『最もダメージを与えられる箇所』を最初に通すのではなく、それが一番最後に来るように相手の部位を貫通させないと最大ダメージを与えることができないのだ。

 今回の記録では、私はダウン中に『頭から尻尾にかけて』貫通させるように狙撃榴弾を撃っていた。しかしこれはSランクを目指す場合には明らかな悪手だ。なぜなら、パオウルムー亜種の尻尾は全部位の中で最も硬く、最もダメージを与えくい部位だからだ。
 尻尾に対して狙撃榴弾の最大ダメージが乗ったところで、総合して与えられるダメージは伸び悩んでしまう。逆に言えば、頭に狙撃榴弾の最大ダメージが乗るように、つまり頭が狙撃榴弾の最後のヒット部位となるように弾を通すことができれば、理論上は総合ダメージが最も大きくなるのだ。

 そうなると、パオウルムー亜種のダウン中に狙撃榴弾をその場ですぐ装填して撃つ……というのは(ほとんどの場合において)良いアイデアとは言えないのではないか。
 なぜならパオウルムー亜種がダウンするのは頭部にダメージを与え続けたことによる結果がほとんどのはずであり、その際のプレイヤーはパオウルムー亜種の頭部側に立っていることがほとんどのはずだからだ。
 そのため、相手がダウンしたのを確認したら『尻尾から頭に向かって狙撃榴弾を撃てる位置』、つまり相手の尻尾側に移動してから狙撃榴弾を撃ち込むほうがより大きなダメージを与えられる見込みがあるのだ。

 もっと言ってしまうと、ダウン中にわざわざ相手の尻尾側に移動して狙撃榴弾を撃ち込むという行為自体に無駄が多く、改善の余地があるかもしれない。なぜなら、ダウン中のほぼ上位互換となる状況で狙撃榴弾を撃ち込めるタイミングが存在するからだ。
 そのタイミングとは、引用した動画に触れた際にも取り上げていた、『パオウルムー亜種が突進でプレイヤーを通り過ぎていくタイミング』だ。この状況だとわざわざプレイヤーがパオウルムー亜種の尻尾側に回り込む必要がないうえに、相手の移動中に狙撃榴弾を撃ち込めればダウン時の場合よりもヒット数が増加する。狙撃榴弾のヒット数が1変わるだけでも与えられるダメージが約150増減するため、最短討伐を目指すには無視できない差となる。
 つまり、より最速を目指すのであれば、ダウン中に狙撃榴弾を撃ち込むのはもはや最適解とは言い切れないわけだ。


Sランクへの挑戦は始まったばかり

 気がつけば狙撃榴弾を用いた立ち回りについて夢中で考えているうちに(普段通りの)長い文章となってしまったため、やりきれない気持ちはあるものの、このnote記事については一旦ここで筆を置かせて頂く。

 さて、この記事をお読みになった皆さんは、闘技大会に対してどんな印象を抱いただろうか?
 私は、狩猟時間を縮めるという、文字で見ればたったそれだけに過ぎない行いに、プレイヤーの飽くなき探究心や発想、経験、そして技術が詰め込まれているのだと身を以て体感することができた。

 ただひたすらに通常弾を撃ち込むだけの立ち回りも、意識を変えるだけで狩猟時間が大きく変化することが分かった。また、ヘビィボウガン狙撃榴弾1発を撃ち込むという動作1つだけでも、その1発で狩猟時間をより短くするために様々な工夫を凝らすことができると知れた。

 そのうえ、今回取り上げたのはあくまでもヘビィボウガンだけに過ぎず、闘技大会には他にも様々な武器種が存在し、それぞれに似たような意識すべき点や工夫できる点が存在するのだ。

 だからこそ、皆さんも今後闘技大会に挑戦することがあれば、この記事の私のように自分の中で明確を理由を持ったうえで武器を選んだり、立ち回りを考えてみてほしい。
 もちろん、その理由が最初から正解である必要はない。この記事のように、毎回の結果をよく振り返り、間違っていたことに気がついた段階で修正していけば良いのだ。そうすれば、何も考えず闇雲に回数を重ねようとするよりも、より早く自分の中の最適解に近づき、より高みを目指していけることだろう。


あなたの『狩猟を通じて考えていること』も教えてほしい

 今回の記事では、私が『狩猟を通じて考えていること』の過程やその結果が分かるような内容として記事を書いた。もちろんこれはご立派な攻略記事ではないし、実用的な内容ですらないかもしれない。

 しかし、そんな内容であっても、誰かの背中を押すきっかけになるかもしれないし、誰かの思考を埋める根拠になり得るかもしれない。
 分野は異なるが、ITやプログラミングの界隈では何かトラブルに直面した際にそれをどうやって解決したか、という記事をざっくばらんに書いて公開する技術者が多い。しかしそれは、どんなにニッチなツールだったり極端な状況についての記事だとしても、少なからず誰かが検索サイトなどを通じてそれを見つけ、その人の抱えるトラブルを素早く解決してくれる特効薬になり得るのだ。

 だからこそ、どんな些細なことでも、小さなことからでもいいから、誰かと共有してみてほしい。手段も何だっていい。
 今や情報はツイートでも画像でも動画でも記事でも、様々な形でそれを扱い、広めることができる。
 自分のできる範囲からで構わないので、始めてみてほしい。たったそれだけでも、誰かの助けになるかもしれないし、そこから話が広がり輪が広がるかもしれない。


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 モンハン愛をカタチに。Advent Calendar 2020 の1日目の午後は、こ ち ゃさんによる『普段よりちょっと気合の入ったGIF画像』です。以下のツイートからご覧下さい。



 本企画では2020/12/1〜12/25まで合計50名の参加者をモンスターハンターに関する作品を公開して頂きます。
 モンハン創作者の集まる本企画、最後までじっくりとお楽しみ頂ければ幸いです。


モンハン愛をカタチに。Advent Calendar 2020

【11/24 20:00追記】
定員に達したため、本企画の参加者募集は締め切らせて頂きました。ご協力いただきありがとうございました。

「モンハン」をテーマに、アドベントカレンダーがやりたいんです……!


【いやアドベントカレンダーって何?】

 アドベントカレンダーとは、12月のクリスマス当日まで日にちを数えるために、お菓子の入った箱の窓を1日1個ずつ開けていくものです。
 そして、IT界隈ではそれに習って、何らかのテーマに沿って1日にひとつ、みんなで記事を投稿していく文化が存在しています。

 で、それを"モンハン"をテーマにやっちゃいましょう。という話です。


【"記事"ってことは文章じゃなきゃダメなの?】

 字書きの少ないモンハン界隈では、"記事"に限定すると参加しづらい!
と思ったので、"ツイートで宣伝できるもの" なら何でもアリとします。


【つまり、何をするイベントなの?】

 12/1 ~ 12/25までのいずれか1日につき1名の方に『私はこの日に創作物を出します!』と宣言して頂いたうえで、その日にモンスターハンターに関連する創作物を公開して頂きます。
 そして、その創作物をフォロワー1500人程度 + MH界隈著名人の方々へのコネ有な私が紹介させて頂きます。

【2020/11/24 10:30 追記】
想定以上の多くの参加希望を頂いたため、1日につき1名〜2名(合計50名)までに増枠させて頂きます。


【具体的な決まりごとを教えて!】

・普段創作をしていない人も大歓迎。これを機にアウトプットを始めてみよう!

・『公開する創作物に飛ぶことができるURLがある』ものならどんなものでもOKとします。個人ブログ、note、pixiv、Youtube、さらにはTwitterのツイートでも問題ありません。

・内容も攻略記事に限らず、世界観考察やエッセイ、プレイレポート、二次創作小説といった文章物。さらにはゲーム内の動画や画像を利用した実況動画、TA動画、魅せプ動画、ネタ動画、加工画像や重ね着自慢など、モンハンに関係する内容であれば何でも構いません

・ただし、公開する創作物の内容はアドベントカレンダーの起源に則り、なるべく多くの方『見てちょっと嬉しく/楽しくなる』内容であることを推奨します。
 サークルや友人の間でしか伝わらない身内ネタや、解釈によってモンスターハンターシリーズやそれに類する各要素のDisりやネガティブキャンペーンとして誤解されてしまう可能性がある内容を含む創作物についてはご遠慮頂くようお願いします。

普段連載している創作物の続きを本カレンダーの作品として公開するのも可とします。眠っている連載もの…たまには起こしてみませんか?

・ただし、特別な理由がない限り、既に公開済みの創作物を本カレンダー用の作品として転用しての参加はお断り頂きます。


【長いから要約して】

『皆さんが普段やっていらっしゃるモンハン創作を毎日1人ずつ公開してワイワイ楽しむイベント』みたいなものです。
 軽い気持ちで参加し、作品を投稿して頂けるとありがたいです!


【そうは言われてもネタが思いつかない】

・どうしてもネタが思いつかない人向けのお題として、『クリスマスプレゼント』『凍て地』『イヴェルカーナ』を用意しておきます。
 ただし、このお題に必ず沿って頂く必要はありません。あくまでも、『見てちょっとうれしくなる』内容であれば自由です。


【どうすれば参加できるの?】

【2020/11/24 20:00追記】
定員に達したため、本企画の参加者募集は締め切らせて頂きました。ご協力いただきありがとうございました。

【参加したとして何をすればいいの?】

1. 公開日と公開予定の内容(未定でも可)をせととTwitterDMで相談の上で決定させて頂きます。
2.相談し決定した公開日までに、各種創作物を作成してください。
3.公開日になったら創作物を公開するとともに、そのURLや宣伝ツイートをせとに連絡してください。

 詳しい手順については、参加が確定し次第お伝えさせて頂きます。

アドベントカレンダーの実物を知っている方向けの補足説明)
 まだモンハン勢の皆さんに一般的なアドベントカレンダーについての認知が広まっていないこと、さらにはイタズラ参加等の懸念があり得るため、今回は外部のアドベントカレンダー運営用サービスは利用せず私主導の人力で企画を運営させて頂きます。予めご承知おき下さい。


【参加するといいことあるの?】

 フォロワー数約1500人 & MH界隈の著名人へのコネが多めなせとが、公開された創作物やその宣伝ツイートを紹介文付きで引用RTします。

 何かの創作物を公開するのが初めてな方でも関係なく、引用RTで盛り上げちゃいます。


【この企画で公開される創作物はどうすれば見れるの?】

 期間中に Twitterアカウント: @kura_tong で毎日引用リツイート等でURLを公開しますので、@kura_tong をフォローしておけば毎日タイムラインで見ることができます。


 概要は以上です。
 皆さんに少しでも12月を楽しんで頂けるようなイベントとなるべく、是非ともご参加頂ければ幸いです。

『一曲をたくさん聞いて飽きる』を繰り返す人でも音楽サブスクリプションは楽しめる


 皆さんは『音楽のサブスクリプションサービス』と聞くと、どんな印象を思い浮かべるだろうか?


 ほとんどのサービスは『お金を払えば無数の曲が聴き放題』となるサービスだ。そのため、『同じ曲を聞いているよりもたくさんの種類の曲を聴いていたい』とか、『たくさんの種類の曲を聴かないと元が取れない』などと考える方が多いのではないだろうか。
 実際、たった数曲の楽曲をループし続けるだけなら、各種オンラインストア上で1曲数百円で販売されている楽曲を購入して聴き続けるほうがコストパフォーマンスにも優れているだろう。

 そして私も、約1年前まではそう考えて音楽サブスクリプションサービスに手を出していなかったのだ。


筆者の音楽鑑賞センスについて

 実は私は、音楽鑑賞については『めちゃくちゃ同じ曲を聴きまくっては飽きる』を繰り返し続けている男だ。具体的には、Last.fmというサービスを利用して溜め込んだ私の音楽鑑賞履歴を見て頂けるとお分かり頂けるだろう。

スクリーンショット 2020-11-18 17.32.49

 私が本格的にlast.fmというサービスを使い始めてから今日までの再生回数が約12,500回で、そのうち聴いた回数が多い楽曲の上位11曲の再生回数が合計で約3,000回なのだ。

 こういった情報は他人と比較したことがないのが私が普通なのか、それともおかしいのか分かりづらいかもしれないため、もう少し詳細な情報をお伝えしよう。

 例えば、ある日発売されたシングルの楽曲を極端に流し続けるのが数日続いたりする。

スクリーンショット 2020-11-18 17.13.32

 かと思えば、話題になった曲を永遠にループし始めたり、急に懐かしい曲のことを思い出してひたすら流し続けることもある。

スクリーンショット 2020-11-18 17.15.01

スクリーンショット 2020-11-18 17.47.41

 ちなみに『ゾンビランドDEMPA!!』という曲を例に挙げると、1周で5分14秒かかり、上記の画像によればそれを127周している。ざっくり計算すると 5.23分 * 127周 = 664.21分 聴き続けていたことになる。

……えっ? 1日に11時間???

 もちろん、この現象は私にとって毎日のように起きているものではない。ただ、先述のように推しのアーティストが新曲を出したり、ネット上の流行の影響を受けたり、もしくは急にふと思い出したりと、何かしらの理由があって同じ楽曲を聴き続けてしまうということが定期的に起こるのだ。

 しかし、そういったことは、実はLast.fmを始めるよりも以前に比べると少なっくなってきている。理由はおそらく、Last.fmを始めたのとほぼ同時期にSpotifyの有料サブスクリプションを契約し始めたからだ。


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なぜSpotifyを使い始めたのか

 それまで買い切りの音楽を楽しんでいたのに、突然サブスクリプションサービスを契約し始めた理由。それは、新たな『依存先』を簡単に見つけたかったから、と言える。

 結局のところ私の本質は飽き性なので、飽きたらすぐに次の依存先となる楽曲を探して回る必要がある。とはいえ、学生時代を終え社会人生活を始める中で、ネット上で自主的に音楽を聴いて依存先を探し回ること自体が手間だと感じられるようになってしまってきていたのだ。

 そこで、『サブスクリプションサービスを契約していつも通り楽曲を聞き流していれば、レコメンド機能で勝手に依存先が見つかるのではないか』と考えたのがきっかけだった。


 ……というのはやや建前で、本音としては学生時代に聴いていたアーティストが偏りすぎて一般世間の流行とかけ離れた音楽知識しかなかった(いわゆる『ニコニコ動画』ベース)ので、いい加減に一般のトレンドも追うようにしておきたいと思い始めていたことの影響の方が大きいかもしれない。


推し曲よりも人気の曲があると対抗心で聞きたくなる

 Spotifyには、ただ楽曲を聴くだけでなく、新たな楽曲を発見しやすくしてくれるための様々な仕掛けが用意されている。
 その1つが、アーティストごとに用意されたページだ。ここでは、Spotifyの全ユーザーがそのアーティストの楽曲を合計で何回再生したかとか、今ユーザーに人気の楽曲はどれだ、といったような情報が表示される。


 突然だが、私の推しアーティストの1人にヒゲドライバーさんという方がいらっしゃる。
 太古の昔(オタク特有の誇張表現)にニコニコ動画などで公開された "ukigumo" という楽曲を利用したPV "DDDot" を観てその楽曲に興味を持ち、当時の同人CDである『コスモドライバー∞UP』というCDが人生で初めて購入したCDになったくらいにはお気に入りのアーティストだ。


 そしてもちろん、私の中ではヒゲドライバーさんの推し楽曲も当然 "ukigumo" だったのだ。ただ、その後はお約束の飽き性が発動しヒゲドライバーさんの楽曲をほとんど追えていなかった。『いつの間にアニメのOPとかEDを担当していらっしゃったんですか!?』というレベルだ。


 話を戻そう。それでは、ヒゲドライバーさんのSpotifyにおけるアーティストページがどのように表示されているのかと言えば…

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 なんと "ukigumo" は1位ではなく2位だったのだ。いや、初発表から11年が経過しようとしているukigumoが2位というのも勿論素晴らしいことではあるのだが。

 このように、自分の中で名曲だと思っている曲を作ったアーティストのページを見てその曲が1位ではなかった時の衝撃はなかなかに筆舌に尽くし難いものがある。
 とはいえ「だったら1位もどんな楽曲なのか聞いてやろう」と軽い気持ち聞き流し始め、気がつけばハマっていたりする。といったように、普段ずっと聞き流している楽曲だけでも様々な発見が得られるのは、多くのユーザーと再生回数を共有しているSpotifyの特徴の1つだろう。


好きな曲ばかり聞いていてもレコメンドは最適解を示す

 同じ曲ばかり聞き流す比率がやや高い私だが、それでもたまには気分転換に別の曲を聞きたくなったり、複数の楽曲をだらだらと聞き流したくなってしまう時もある。
 そんな時に、やはり『過去に聴いた楽曲を元にユーザーが新たにハマってくれそうな楽曲を教えてくれる』というレコメンド機能が役に立つのだ。

 先程も軽く触れたが、私は『ニコニコ動画』の音MADに使われるような楽曲だったり、やや激しめのオリジナルボーカロイド楽曲や東方アレンジ楽曲を主食として学生時代を過ごしてきた。

 しかしそんな私でも、Spotifyで聞けるボカロ楽曲やアニソンを中心に楽曲を聞き流したり、好みの楽曲に「いいね」を付けたりするのを毎日続けているだけで、Spotify日替わりで私向けのおすすめプレイリスト自動で作成してくれるようになるのだ。その中にはもちろん、私がまだ聴いたことがない曲も含まれている。

スクリーンショット 2020-11-18 18.55.09

 その結果、"ヒトリエ" や "PENGUIN RESEARCH" 、"東京スカイパラダイスオーケストラ" といったアーティストを知ることができたし、それ以外にも毎日さまざまな楽曲に触れられるようになったのだ。

 音楽を聴いて『いいね』する、たったそれだけで新たな好みのアーティストや楽曲を知ることができる。
 これは実質的に『自分で探す手間』を省けていることになるわけであり、そういった時間を短縮するという点にお金を出していると考えると、サブスクリプションコスパの悪い買い物だとはだんだん思えなくなってくるだろう。

 ちなみにレコメンド機能は、大昔に聞いたことがあるが記憶から抜け落ちてしまっていた曲すらも思い出させてくれることがある。
 使い込めば使い込むほどこちらの好みをピンポイントで捕捉するようになるというのは本当らしく、403というアーティストの "Southern Cross" がDiscovery Weeklyに出現した時は我が目を疑い、そして感動したものだ。

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 なぜかというとこの楽曲は、ニコニコ動画よりもさらに前、いわゆるFlashを用いて作成されたとある動画に使用されていた楽曲であり、私が当時めちゃくちゃハマった楽曲だったのだ。そもそもこの曲が配信されていたことにも驚いたが、これを紹介してきたSpotifyのレコメンド精度にはもはや頭が上がらないのだ。


依存先を探す時間を買うのも悪くない

 以上のように、Spotifyを始めた私の音楽生活はより充実したものになり、他人より流す曲のバリエーションこそ少ないかもしれないが高い満足感を得ることができているのだ。

 昔の私は「一般のアーティストの曲は自分には合わない」「ボカロや東方アレンジに似た曲調の曲はニコニコにしかない」などと自分の中で勝手な偏見を抱いてすらいたものだが、今では意外とそういう曲調が一般アーティストの間にも広まっていることを知ったし、新たな依存先を見つけては曲を垂れ流す生活も捗りつつある。

 私のような『一曲に依存しがちなタイプ』の方が世の中にどれだけいらっしゃるかは定かではないが、もしこれを読んでいる貴方がそうなのであれば、是非ともサブスクリプションサービスを利用して自らの音楽の世界を大きく広げることに挑戦してみてはいかがだろうか。


(余談)
 この記事を書きながらTwitter上のフォロワー諸氏に『私の感覚が普通かどうか』を間接的に質問してみたところ、半数以上の方に『やべーやつ』だとの回答を頂いた。私が長らく自分自身に抱いていた感覚はあながち間違いではなかったらしい。


無計画でVR機器を買ったら無事にVRChat沼に引きずり込まれた話

 私の中でVRが生活の一部になってから、早くも一か月が過ぎていた。
 それまでは微塵もVRの世界のことを知らなかったし、何なら最近流行りのVTuberという存在を遠目に見やりながら自分がやりたいゲームに集中しているような程度の人間だったのだ。

 そんな人間が、どうして急にVR機器に手を出して、そして一瞬でVRChatに毎日のようにログインしたりUnityやBlenderの勉強を始めるようになってしまったのだろうか。

 ちょっと曖昧な部分もあるが、そのきっかけを振り返りながら、今なら言える『自分がやりたかったこと』=『今の自分がVRを通じてできていること』について考えていく。

 

どうしてVR機器に手を出してしまったのか

 昔からVRゲームや、VRで動画を見るといった辺りには興味を持っていた。しかし親の脛をかじりながらの遠距離通学だったためアルバイトをする時間もなく、自由に使える金もなかった。すなわち、VR機器を買うなんて夢のまた夢の話だったのだ。

 

 しかし社会人になり、一人暮らしも始め、時間とお金にほんの少しの自由が生まれた。そしてある時無性にVR機器に手を出したくなった私は、安価に高品質なVRが体験できると世間の注目を集めていたOculus Quest2と、それまで持っていなかったゲーミングPCを併せて一気に買ってしまったのだ。

 

 ……とは言ったものの、実際にQuest2で何をして遊ぶかは全く決めていなかった。それこそ、Quest2で遊ぶよりも先に日課のリングフィットを始めるレベルであり、VRへの激しいモチベーションに沸き立っているわけではなかったのだ。

※上記アーカイブは非公開設定のはずです

 

 それからやっと、FacebookアカウントとQuest2を連携させ、PCとQuest2をOculus Linkで連携させ、Quest2に手を出し始めたのだ。

 

 そう、手を出し始めた。そしてそれからわずか4時間後、気がつけばいつの間にかVRChatの世界でkawaiiアバター、もとい優しい人々に囲まれてナデナデされ、結果VRChat沼に堕ちてしまっていたのだ。

※現在のVRChatIDは "せと。/setohima" に変わっています

 

 今思い返すと、そもそもどうして、何がきっかけでVRChatに手を出したのかが全く思い出せない。この日にブラウザで閲覧していたページの履歴を確認しても、『リングフィット配信のために使用していたツイキャス』から『VRChatについて具体的に調べている』までの間にほかのサイトを全く開いていないのだ。

スクリーンショット 2020-11-16 20.52.57

 わずか一ヶ月しか経っていないのに推測になってしまうが、おそらくQuest2をPCに接続した私はQuest LinkのPC側のアプリケーション一覧を適当に眺める中で偶然VRChatを見つけ、軽い気持ちでVRChatをインストールし接続し始めたのではないだろうか。
 今思えばそれは(沼に堕ちる意味で)愚行であったとも、(めっちゃハマった意味で)英断であったとも言える。

 

日本語圏VRChatにおける『善意の連鎖』

 VRChatには、有志の日本ユーザーが作成した『日本人向けのVRChatに関する操作やVRChatにおける文化について学べる場所』が存在する。

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 これはVRChat公式ではなく、あくまでも有志が作成した場所なのだ。そもそもVRChatは日本で作られたゲームではなく、ゲーム内のUIが全て英語だ。そこで、主に英語がわからない日本人向けに作成されたのがこのワールドだ。

 しかし、VRChatにおける日本人の特徴はこれに留まらない。なんと、何らかの見返りを求めることもなく、ただ善意で先輩プレイヤーが新人プレイヤーに対して操作や文化についての詳しい説明を行うという文化が定着しつつあるのだ。先輩プレイヤー達がワールド内に書かれている内容を口頭で説明したり実演して見せたりすることで、新人プレイヤーの理解をより深めるという意図があるのだろう。

 ちなみに、先輩プレイヤーの中でよく新人プレイヤーに教える役回りを買って出ることが多い方々に「どうして無償でそういったことを続けているのか」と聞いたところ、「自分が新人の頃にそういうことをしてもらったから」と話す方が多かった。
 このように、あるプレイヤーの善意から多くのプレイヤーへと善意が連鎖していることが伺える。この文化は日本のVRChatにおける大きな特徴と言えるだろう。

※注:あくまでも先輩プレイヤーは時間が空いていたり暇だったりする時に、彼らの善意でそういった役回りを率先して受けている傾向にある、というだけであり、新人プレイヤー全員に対して漏れなくそういったサービスが提供されているわけではないことに注意してほしい。
 そういったプレイヤーが居る可能性が高い時間帯はある(21時〜22時頃)が、基本的に会えたらラッキーぐらいに考えておくべきだろう。

 

 そして私も、新人プレイヤーとしてVRChatに足を踏み入れたその日に先輩プレイヤーから直接ご指導を頂いた者の1人だった。

 これまでの10年程度で買い切りのゲームだけでなく、PC向けに提供されていた基本無料型MMORPGの類で遊ぶことも多かった私だが、そういった場で先輩プレイヤーから直々にゲームについて教えてもらえるような状況に遭遇したことは過去に一度もなかった。
 それどころか、そういったゲームでは他のプレイヤーと直接チャット等で交流することはほとんど無く、ギルドなどの集団に属して初めて他プレイヤーと交流を持つことができる。というのが私の中での常識だった。

 それだけに、VRChatで積極的に他プレイヤーから積極的に、チャットではなくボイスチャットでガンガン話しかけられる状況というのは自分にとっては大きなカルチャーショックだった。若干恐怖を覚えたレベルだ。

 しかもその時の私は、(当時)Quest2をPCに繋いだ際に発生しやすい不具合のせいでマイクが使えなかったのにも関わらず、先輩プレイヤー達はそそれに配慮しつつ、懇切丁寧に操作方法などについて説明して下さったのだ。こちらはコントローラーを使用して身振り手振りで意思を伝えることしかできなかったが、それでも意思疎通を図ることができた。

 そして説明を終え、いくつかのワールドへ散歩に連れて行ってもらいもした。行き先のワールドで操作を間違えて迷子になってしまっても優しく応対してくださったり。かと思えばkawaiiアバターでこちらをナデナデしてくれる。なんだ、ここが楽園(エデン)だったのか。

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 残念ながら悦に浸りすぎたせいでナデナデされた時の写真は撮影できていないが、この画像のようにkawaiiちびっこアバターから傘を差し出されるだけでも人間(特に男性)は『VRChatやべえ』との確信に至ってしまうのである。

 

 そういった周囲のプレイヤーの暖かさを感じることができたうえに、連れて行ってもらった先で観た景色は、過去に見たことがあるもので構成されているはずなのに見たことのないような風景を描き出しており、私の心を掴むには有り余るくらいのものだったのだ。

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VRChatは私の何を満たしてくれたか

 その後の約1ヶ月をVRChatに費やした結果、VRChatが私のどんな欲求に応えてくれたかについて、駆け足で紹介しよう。

 

 まずは、承認欲求を満たしてくれた。

 少しVRChatのことが理解できるようになった辺りで、ちょっと背伸びして無料で配布されているアバターの着ている服などの色を自分好みに改変してみたり、アクセサリーをつけて自分らしさを出してみたりした。そうして生まれた些細な変化でも、知り合い同士や友達同士で褒め合えると、ちょっと嬉しくなってしまった
 正直な所、女心には疎い自信がある。しかしそんな自分でもVRChatのおかげで、『自身の見た目』にお金と時間を費やす人々の気持ちの片鱗を理解できるようになった気がしている。

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 様々なアバターで集まってだらだらお話をしたり、集合写真を撮るだけの気軽なイベントもあるのだ。
 ちなみにこの頃の私がまだ女心を理解していなかったことは、画像の左側を見るとお分かり頂けるだろう。

 

 次に、自分自身の飽きっぽさを満たしてくれている。

 私は今まで書いてきた記事の大半がモンスターハンター:ワールド関係の内容であるくらいにはそのゲームにのめり込んでいたが、それはあくまでも例外中の例外だ。大半のゲームはストーリーラインをクリアした辺りで放り出すか、PS4で言うトロフィー全て揃えた辺りで手放すような、飽き性寄りの人間なのだ。

 それに対し、VRChatでは製作者がいる限り無限に世界や遊び、姿かたち、雰囲気、交流の場などの多種多様なものが提供され続ける。もちろんずっと同じものでも楽しめないことはないが、やはり毎日違う体験をしても追いつかないぐらいに遊べるのはとてもありがたいことだった。

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 ある日は酒場で酒を飲み交わし、次の日は美しい風景を眺めながら友人と語り合い、その次の日はロケットが発射される瞬間に立ち会ったり、さらに次の日はホラーゲームのような世界で怪物から逃げ回る。
 作り手がいる限り、あまりにも多種多様な体験ができてしまうのだ。

 VRChatでは常に誰かの作品が、誰かの想いが、他の誰かの支えになったり、発想の燃料になったり、笑いの種になったりしている。そしていつしか、どのプレイヤーも自分なりの創作に手を出し始めるようになるのだろう。

 

 最後に、自分に正直であることを満たしてもらえた。

 これはコミュニケーションにおける誠実さ等と言うよりも、自分の代理人とも言える3Dアバターを通して自分自身を他人に伝える時の話だ。
 自分の性癖に向き合えた。自分の下半身に従ってアバターを選べた。男子諸君なら1度は抱くであろうTS願望を擬似的に叶えられた(見た目だけなので内面的には努力が必要だが)。うちの子かわいい。そういったことだけでも、日々を諦めずに生き抜ける活力になり得てしまう。今日も生きのびてえらい。

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 そういった訳で様々な理由があり、私はすっかりVRChatの虜になってしまっているのだ。

 VRの世界は未だ敷居が高く、VR機器だけでなくやや高性能なゲーム用PCを所持していないと足を踏み入れられない。
 しかし、実はVRChatについては、ある程度の性能を持つPCさえあればVR機器がなくても遊ぶことができる。VR機器を利用する場合よりもゲーム中の自己表現の手段は減ってしまうが、ボイスチャットで他人と交流することはできるし、たくさんの人々が作成した様々な世界に触れることも十分に可能なのだ。
 また、VR機器についても最近は安価な機種が発売され、VR初心者ユーザーでも手が出しやすくなっている。オススメは、この記事でも紹介したOculus Quest2だ。

 もしこれを読んでいる貴方がまだVRの世界に足を踏み入れたことがないのであれば、まずはPCからでも、あわよくばVR機器を買い、未だ見たことがない交流の場と世界を目の当たりにしてみては如何だろうか。

 その時は、貴方も私と同じように、貴方の中の何かが大きく変化していくであろうということを約束しよう。

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僕は新大陸で狩友を失った


僕にはモンスターハンター:クロスの頃から馴染み深い狩友が3人いた。


 狩友、そう狩友だ。モンスターハンターシリーズの公式が、モンスターハンターを一緒にプレイして遊ぶ友達のことをそう呼んだのが一般的に広まった言葉だ。

 別に僕たち4人で狩猟の速さ(タイムアタック)に挑むような高度な狩猟をしていたわけじゃない。それどころか、2017年3月下旬に発売された続編(モンスターハンターダブルクロス)のやりこみコンテンツである『二つ名モンスター』の狩猟を4ヶ月経っても完遂していないような、ごく一般的な実力しかない狩人たちに過ぎなかった。

 けれど、そんな実力だとしても、毎日こつこつとみんなで一喜一憂しながら強敵を狩って遊ぶのは楽しい時間だった。

 VC(ボイスチャット)で会話もしているのに、だれかの体力が無くなって力尽きた時にわざわざ『これもラギアクルスって奴のせいなんだ』『ラギアワルクナイ』などと定型文チャットを使ったり、ヘビィボウガンをよく使うが必殺技のスーパーノヴァという技をよく外してしまう狩友をみんなで定型文を使って煽ったりした。

 チャットの内容はノリと勢いに過ぎなかったが、モンスターを狩猟しながらもお互いの行動を観察してはいちいち笑い合ったり褒め合ったり、そんな狩猟生活を送っていた。

 そして気がつけばそんな狩友たちと一緒に困難なクエストも難なくクリアできるようになっていたし、互いに背中を任せ合えるような関係にもなっていた。



 そして時は過ぎ、2017年12月。

 あの新大陸がやってきた。


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 気がつけば僕はモンスターハンター:ワールドにのめり込んでいて、PS4トロフィーを全て獲得していた。続編のモンスターハンターワールド:アイスボーンも発売日の0時から遊び始め、そのトロフィーもコンプリートしていた。

 その過程で新たな狩友に出会い、狩友同士で集まるサークルに所属した。

 そのおかげで期間限定のゲーム内要素もすぐに全回収できた。さらに、2周することが前提とされている難易度のクエストの尽くを1周でクリアできたし、ぱっと見クリアさせる気がないような難易度のクエストも実装から僅か数日で安定周回できるようになった。

 そして気がつけばマスターランク(やり込みの指標の1つ)は上限に達していたし、装飾品(ゲームを有利に進めることができる、ランダム要素の高いアイテム)を全て収集し終えもした。



そんな僕の隣に、3人の馴染みの狩友は居なかった。


彼らはいつしか、僕の友人になっていた。


僕は新大陸で狩友を失った。




観光客誘致をイベントやアップデートに依存した新大陸

 僕にとっての新大陸は、端的に言えば『観光客誘致をイベントに頼る地方自治体』のような運営のされ方だった。

 実際に、この点については  2019年1月に発行された『DIVE TO MONSTER HUNTER: WORLD モンスターハンター:ワールド 公式設定資料集』の最後にある、『モンスターハンター:ワールド』を振り返ってという辻本プロデューサー、藤岡エグゼクティブ・アートディレクター、徳田ディレクターの3人へのインタビューの中でも似たようなことが触れられている。

 ── DLCダウンロードコンテンツ)の配信スケジュールは、どのように決められていったのでしょうか?
徳田 もともと最初のほうでモンスターの序列バランスを作っているときに、イビルジョー、マム・タロト、ナナ・テスカトリまでは決めていました。
(中略)
辻本 その頃の計画に当初にはなかった要素もいっぱいあります。歴戦王モンスターとか。
藤岡 歴戦王モンスターに関しては、いくつかの燃料投下として必要だろうという話になったんですよね。春夏秋冬と1周年の季節イベントを盛り込むことは決めていましたが、その間もユーザーの方に定期的に盛り上がるネタを用意したいなと思って。今までの経験から、発売後のユーザーさんの動向をある程度は予測していたわけですが……それでもやはり、足が早いと感じました。
(中略)
徳田 そういった形でユーザーさんの動向を見ながら、アップデートや追加のクエストは考えていきました。

(『DIVE TO MONSTER HUNTER: WORLD モンスターハンター:ワールド 公式設定資料集』558ページ 2019年1月31日刊行 より一部引用 )

 このことから、運営側としてもユーザーに定期的に盛り上がるネタを提供するべく、アステラ祭やセリエナ祭、さらには期間限定の各種イベントクエストを提供していたことが読み取れる。


 実際にイベントが開催されていた新大陸の様子はどうだっただろうか。確かにイベント中は観光客とも言うべき狩人が集まり、彼らは新たに実装された期間限定のイベントクエストや新規要素、もしくはアステラ・セリエナ祭を祝して復活したイベントクエストに挑んでいた。


 それに対して、イベントが開催されていない時期はどうだったか。割とあっさりと、観光客の数は減っていた。
 その大きな要因は、イベント期間外には遊べるクエストが極端に少なくなってしまい、遊びの幅が制限されてしまうことだった。また、イベント期間外にも期間限定のクエストが配信されることはあれど、その機会を逃すと次に遊べるのが2〜4週間先になってしまうことが往々にしてあったのだ。


 純粋に狩猟を楽しめている狩人達は、彼ら同士で集まれば普段通り遊ぶことができた。
 しかし、そうでない狩人は同じくらい、いやそれ以上に存在していた。そしてその殆どは狭められてしまう遊び方に辟易し、同時期に流行っていた別のゲームへと足を運んでしまっていた。


 もちろん、ゲーム内の祭りが開かれたり、アップデートという大きな変化があれば再び人は集まる。そして、旬が過ぎれば再び人は離れていく。その中で新大陸に定住し続けていたのは果たして全体の何割だったのだろうか。その割合を少しでも引き上げようとするかのように、新大陸は何度も祭りやアップデートを重ねていった。

 そのアップデートにより、新大陸には高難易度なコンテンツや、時間のかかる内容を何度も周回させることで良い報酬を獲得させるコンテンツのような、手間や時間をかけさせる要素が増えていった。それにより、少しでも長く新大陸に定住する狩人の割合を無理にでも増やそうとしたのだろう。


そして、それらが僕にとっての変化の引き金だった。


 期間限定を主とする新大陸運営を追うことを諦めてしまった狩人がいたが、それは馴染みの狩友だった。


 重なるアップデートにより高難易度で効率解を求められるイベントの内容やその空気に耐えきれなくなった狩人がいたが、それは馴染みの狩友だった。


 数多くのアップデートが過ぎ去った後に新大陸へ足を踏み入れて僕に追いつこうとしてくれた狩人はあっという間に音沙汰が無くなったが、それは馴染みの狩友だった。



狩友Aの場合:期間限定の不条理

 狩友Aは、狩人はあくまでも副業であり、毎晩のように深夜遅くまで残業を続けるような仕事を生業としていた。夜勤ではなく、純粋に朝から晩まで身を削るような勤務を続けていた。

 彼にとっての最大の不幸は、そうした環境に置かれるようになったのがちょうど新大陸に足を踏み入れ始めた頃だったことだ。すると、何が起こるだろうか。

 朝から深夜遅くまで勤務しても、その翌朝にはまた勤務が始まる。そうなれば、到底狩人として新大陸に身を置く時間はない。激務の影響から、せっかくの休日も休息することに手一杯であり、当然ながら新大陸へ行く頻度は日に日に減っていった。


 彼にとどめを刺したのは、ある時のアステラ祭だったのかもしれない。
 祭りの時期が彼の仕事の都合と恐ろしい程に噛み合わず、その期間中ほとんど新大陸へ挑むことができなかった。先述の通り、アステラ祭にしか配信されないような期間限定クエストを逃してしまえば、次に遊ぶことができるのは当分先になってしまう。

 そして彼は、まるで何かに裏切られたことを悟ったように、新大陸での活動を次第に閉ざしていった。その後定期的に来ていたお祭りも数々の新要素も、遂ぞ彼を定住させるに至らなかった。


狩友Bの場合:そこに最適解以外の解はない

 ハッキリ言ってしまうと、彼女は馴染みの4人の中では狩人としての実力に最も劣っていた人物かもしれない。というのも、彼女がモンスターハンタークロスダブルクロスを遊んでいた最大の理由は、仲がいい人と遊ぶゲームが一番楽しいから、というものだった。

 彼女にとってのモンスターハンターシリーズはその手段の一つに過ぎなかったはずだ。しかし過去の彼女にとってはいつしか最適なものになっていたことは、VCや定型文チャットにノリノリで便乗しながら彼女らしい狩猟生活を送っていたことからも分かるだろう。

 彼女らしい狩猟生活は、その装備やスキル構成に現れていた。彼女が実力派ではないことはご存知の通りだが、それを補うようにまさしく安心安全を体言するかのような装備を主軸に据えていた。簡潔に言えば、『相手に与えるダメージの量』よりも『自分が受ける被害の量を抑える』ことを優先した装備だ。
 実際に、当時の僕達の中では『体力が0になる回数が多すぎなきゃ何をしても良い』という不文律が生まれており、彼女が望む遊び方も僕達は当たり前のように受け入れていた。


 しかし、そんな彼女を、成長する新大陸の環境は残酷なまでに突き放していった

 度重なるアップデートによって、モンスターハンターワールドシリーズには高難易度な内容や効率解が求められるようなコンテンツが次第に増加していった。
 そしていつしか、一般的な難易度のコンテンツよりもそういったコンテンツが時間潰しの定番として扱われ始めていた


 そういった新大陸の状況を見た彼女が何を思ったか、そんなことは最早言うまでもないだろう。
 しかし、そこに追い打ちをかけるように、周囲の一般的なプレイヤーも様々な手段で提供される攻略情報によって高難易度環境に適応し始めた。その上、その周囲に効率的な周回方法や装備構成を真似するよう要求し始めたのだ。

 普段から実力面で申し訳無さを感じつつも周りと一緒に楽しむことを目的としていた彼女にとって、この新大陸とその狩人達はあまりにも無慈悲だった。

 そして周囲の環境に追いつくことへの限界を感じたからなのか、それとも僕達以外のプレイヤーから最適解を求められすぎたからなのか、あるいは両方か。彼女はある時点からそれ以上新大陸へ向かうことを断念してしまった。


狩人Rの場合:新大陸は後続の狩人に親切が過ぎた

 彼もしくは彼女は、馴染みの中でも先導役なように見えて、実の所はとても寂しがり屋だったのかもしれない。

 狩猟中にネタ全開の定型文を使っていたのは彼だったし、僕達がそれにわざわざ便乗するためだけに専用の定型文を作ってしまうぐらいには扇動力があるような人物だった。

 遠距離武器が難しそうだからと食わず嫌いしていた僕を気にも留めずにボウガンを担いでいたのも、スーパーノヴァという必殺技をよく外していたのも、その事を弄られるのも、彼もしくは彼女だった。
 しかし(滅多になかったが)適正距離で命中させた時の子気味良い破裂音と、そこから広がる爆炎の威力に浪漫を感じ、僕はいつしか自分でもボウガンを担ぎ始めるようになっていた。

 そんな狩友Rは、普段の狩猟に留まらず、僕達狩友同士でのオフ会を提案してくれたこともあった。実際に実行もした。その積極さは、今思えば周囲を離したくないことの裏返しだったのかもしれない。


 しかし、色々な事情が重なり、彼もしくは彼女は僕と一緒に新大陸に来ることはなかった。この辺りについては色々と『回りくどい』書き方をしている時点で察して欲しい。

 そんなRは、少し前にPS4モンスターハンターワールド:アイスボーンを買い遊び始めてくれたのだ。それだけなのに、僕は自分の事のように嬉しかった


 しかし、その嬉しさは冬の凍える風に吹かれて消え失せたかのように、あっという間に途絶えてしまった。
 別に全く連絡が取れなくなったとかそういう話ではない。ただ単純に、僕に追いつくまでの過程で灯火がふっと消えてしまったのだろう。
 それが事実だとしたら、僕には痛い程に共感できてしまった。なぜなら、僕は『前例』をすでに経験してしまっていたのだ。


 それは簡単な話だ。僕がストーリー進行を手伝った結果、このゲームの醍醐味を理解するよりも先にストーリーをクリアしてしまい、すぐに新大陸から離れてしまった初心者狩人がいたのだ。


 初心者狩人が1人で最後まで進めるにはモンスターハンターワールドの物語はあまりにも広大になりすぎていて、最前線に追いつくにも手間暇がかかってしまうものへと成長しきっていた。日常生活と両立を試みようものなら、人によっては1〜2週間はかかってしまう。そういう規模だ。

 それを見越した新大陸の運営は、モンスターハンターワールド:アイスボーンから始めたプレイヤーがすぐに最前線に追いつけるように、初心者狩人が先輩狩人にエスト進行を手伝ってもらいやすくするシステムを導入していた。手伝う側にも若干のメリットがあり、確かにそのシステムは機能していた。

 しかしその機能は、あまりにも快適すぎた。極端な話、初心者狩人は狩猟にほとんど貢献できずともストーリーを進めることができてしまったのだ。それにより、見知らぬ先輩狩人に前線まで送り出されたはいいが実力が追いつかず、かと言って先輩狩人との関係は一時的なものに過ぎず、協力を求められる仲間もいない。その結果、強敵を目前にして夢を諦める初心者狩人が増えてしまっていた。


 おそらくRは、すでに別のグループに所属してしまっていた僕に配慮して、どうにか1人でストーリーを進めようとしていたのだろう。そしてその結果、夢は夢であることを知ってしまったまま、深い事情に包まれた日常へと戻っていったのだろうか。



その後の僕は

 最初にも記したように、この新大陸のおかげで新しい居場所に誘ってもらうことができた。また、モンスターハンタークロスダブルクロスの頃よりももっと多くの人に自分を知ってもらえたし、より多くの人々と狩友になることができた。

 しかし、それと同時に、楽しむ方法を教えてもらえないまま最前線まで駆り出されたまま武器を置く初心者狩人たちや、馴染みの狩友が『友人』へ変わっていくという現実も存在していた。

 自分は楽しめているのにこの輪の中に入れなかった人々が数多く存在することを思うと、やるせない気持ちになった。


 なのに、そういった人々が居ても、自分からはどうすることもできなかった。それぞれに手を伸ばそうとしたけど、いつしか手を伸ばしている自分の立場があまりにも大きくなりすぎていることに気がついてしまった。

 結局、自分にとって都合の良い部分だけを眼中に収めたまま、かの日の『友人』達にすら、語りかけることも、気にかけることすらも、できなくなってしまっていたのだ。



きっと、誰かに責任があるわけじゃない。

世界に向けてより多くの狩人を求めた開発者も、

仕事が忙しすぎて期間限定を追うことを諦めてしまった友人も、

最適解の空気に馴染めず狩場を手放してしまった友人も、

あまりの新大陸の広大さに武器を置いてしまった友人も、

誰一人悪い訳じゃない。

ただ、お互いに噛み合わなかっただけなのだろう。



だけど、

それでも、

馴染みの顔と肩を並べて、

気兼ねなく笑い合ってだらだら遊び続けられる、

そんなありもしない日々を、

僕は探し続けていた。

筆を執るこの僕の胸の痛みこそが、指し示していた。



まだ、あの時の僕達を取り戻せるだろうか?

けれど、何があろうとも、

僕たちへ降り頻る雪を溶かし、

行き先を照らし出してくれる "太陽" は、

もう昇り始めている。


モンスターハンターワールド:アイスボーン_20201109213125


Special Thanks
記事サムネイル作者:動くマトさん
友人Aさん
友人Bさん
友人Rさん
いつも関わってくれる皆さん
記事を読んで下さった皆さん